はじめに
相場には、いろいろな用語や格言があります。
例えば、「人の行く裏に道あり花の山」という言葉。これは、投資において付和雷同で行動しても大きな成功は収められない、他人がやることの反対をやった方が大きな成功を収めることができる場合が多い、という意味です。類似の格言として、「友なき方へ行くべし」、「相場師は孤独を愛す」というものもあります。
日本だけではなく、アメリカの金融の中心地ウォール街にも「Buy when others sell; Sell when others buy.(人が売るときに買い、人が買うときには売れ)」という言葉がありますので、投資の本質を表していると言えるでしょう。
さて、格言とは少し異なりますが、「夏枯れ相場」という言葉をご存知でしょうか?夏はお盆休みや休暇等で、国内外の市場参加者が減るために株式市場の取引量が減り、相場の値動きが小幅なものになることを指した言葉です。
実際に、夏は取引量が減っているのでしょうか?検証していきましょう。
下図のグラフは2004~2017年の14年間の東証1部の1日当たりの平均売買代金を表したものです。7月、8月に売買代金が減るのがわかると思います。
現在は、1年の中で最も売買が減る7~8月です。取引量が減少すると、少しの材料にも株価が一方向に振れやすいため、リスクが増加するとされています。
次に、同じく2004~2017年の14年間の国内の主要株価指数の前月比の騰落率を見てみましょう(下図)。特に8月は主要株価指数が軒並みマイナスになっていることがわかります。
では、この夏枯れ相場は投資に適さない時期なのでしょうか?下表は2004~2017年の国内の主要株価指数の8月から12月までの騰落率を表したものです。
この表を見ると、過去14年間、8月から12月までの株価指数の騰落率の平均は全てプラスとなっていることがわかります。夏枯れ相場のときに株を購入して年末まで保有することで、良好な投資機会となる可能性が高い、ということを示していると言えそうです。
ただ、全体的な環境が良い中であっても、個別の銘柄の選別はとても重要です。米中貿易摩擦、為替動向、原油価格動向、各国の金利情勢など、さまざまな要因で株価は動きます。そろそろ3月期決算企業の第1四半期の決算発表が出揃いますので、そこで、足元の企業業績の好調さをしっかり確認できるものに投資するのも良いのではないでしょうか。
個別銘柄ひとつひとつを見ていくのは難しい、という場合は、上場投資信託(ETF)を投資に活用するのはいかがでしょうか。ETFは文字通り上場している投資信託です。日経平均株価、TOPIX等の株価指数、金価格等の指標に連動するものもあり、対象となる資産に幅広く分散投資しているため、投資のリスクを低減できるとされています。また、数千円~数万円程度の少額から投資できるのも魅力的です。
もちろん、ETFも株式投資と同様に、価格変動リスクや株価指数との乖離リスク等が存在しますので、商品内容を見定める必要があります。現在、東証には200本超のETFが上場していますので、「人の行く裏に道あり花の山」の銘柄を探してみてはいかがでしょうか。
(文:いちよし証券 投資情報部 野原直子)