はじめに

生前の相続放棄は無効、遺留分放棄は有効

熟年再婚の場合、子ども側が義理の父母となる方に対して生前のうちに相続放棄を求め、相手もそれに応じることがあります。しかし、このような場合には注意が必要です。

なぜなら相続放棄は相続の発生後に行う手続きであり、生前の相続放棄はすべて無効となるのです。このことを子ども側だけ勘違いしてしまい、「もう相続放棄をしてもらったから大丈夫」と油断すると後でトラブルの原因となってしまう場合があります。

生前に行えることとしては、財産を有する実父母に対して遺言書を作成して貰うか、財産を生前贈与して貰い、義父母に対しては遺留分(※)の放棄をしてもらうことです。この方法であれば法的な拘束力が生じます。

※遺留分とは、法定相続割合の半分について法定相続人に定められている最低限の財産を相続する権利で、遺言によっても遺留分はなくなりません。例えば、遺言により財産のすべてを相続した相続人は、他の相続人が遺留分減殺請求という手続きをしてきた場合、遺留分相当額を支払うことになります。

CHECK::遺留分の放棄は家庭裁判所で審判を受ける必要があり、許可を得られない場合もあるので注意が必要です。

遺言書のススメ

財産の問題の他に、介護やお墓の管理など熟年再婚にはさまざまなテーマが発生します。それらの問題を先送りにしてしまっては相続の発生時に、より大きな問題となってしまいます。

デリケートなテーマではありますが、再婚のタイミングではよく話し合い、遺言書にまとめておくことが望まれるでしょう。こうしたことを厭わずに行うだけで、ドロ沼の相続争いの発生率は大きく下げることができるのです。

家族内だけでどうしても結論が出ないという場合は、被相続人となる方がお元気なうちに経験豊富な第三者の専門家に相談したりする機会を設けることも有効です。

(この記事は相続tokyoからの転載です)

この記事の感想を教えてください。