レゴランド・ジャパン(名古屋市港区)が大幅値下げを断行して、夏休み商戦に臨んでいます。昨年4月の開業当初から「料金が高い」という客の声が多く、散発的な割引キャンペーンを打ってきましたが、2年目の夏にしてついに基本料金の引き下げとなった格好です。

レゴはブロックを中心とした玩具メーカーとして世界的なブランド。レゴランドは運営会社こそ違いますが、日本を含め世界8カ国で展開されています。そんな中で「ジャパン」はなぜ苦戦しているのでしょうか。

愛知県に住む私の知り合いで、レゴランド・ジャパンの開業1年ほど前にマレーシアのレゴランドを体験した家族がいます。もちろん、地元の名古屋にレゴランドが来ることは心待ちにしていて、オープンするとすぐさま足を運んでいました。ところが、その期待は半分、失望に変わってしまったようです。その違いを詳しく聞くと、「ジャパン」に足らなかったもの、そして今後、欠かせない戦略が見えてくる気がしました。


マレーシアの森で醸し出される世界観

レゴランド・マレーシアはマレーシア南部のジョホール州に位置しています。州都はサッカー日本代表の試合で有名になったジョホールバル。マレーシアの首都クアラルンプールからは300キロ近く離れていて、逆にジョホール海峡を挟んですぐ向かいがシンガポールという地理関係です。

知人の女性は夫と小学生の息子と3人で、シンガポール中心部からバスで国境の橋を渡ってマレーシアに入国。ジョホールバル駅からはタクシーでレゴランドに向かったそうです。

ジョホールバル自体は都会の印象でしたが、少し郊外に出ると道路や森以外は何もない光景が延々と広がります。そこをタクシーが猛スピードで突っ走るため、女性は「だまされてる?」と心配になったとか。しかし、20分ほどするとお目当てのカラフルな建物が見えてきました。

マレーシア南部に位置するレゴランド・マレーシア・リゾートのエントランス

この地のレゴランドは2012年開業。正式にはテーマパークとウォーターパーク、ホテルなどの総称で「レゴランド・マレーシア・リゾート」です。ちなみに日本も開業1周年の昨年4月、ホテルと水族館(シーライフ)が完成して「レゴランド・ジャパン・リゾート」となりました。

ただ、敷地面積は日本の約10万平方メートルに対し、マレーシアは約30万平方メートル。3倍という数字だとそれほど大きな違いに感じないかもしれませんが、「スケール感は日本とぜんぜん違う」と女性は言います。

日本は名古屋港の埠頭の一角で、周辺は港の施設や高速道路などが丸見え。それに対してマレーシアは森の中。

「どこまでも続く森で広いけれど、レゴランドはそこだけ周りから切り離された世界。レゴの世界観に浸れるのがすごく大事。日本もせめて木で囲うぐらいはしてほしかった…」

アトラクションも南国のマレーシアらしくダイナミック。特にウォーターパークはプールやスライダー、スプラッシュ系の乗り物が充実。全身びしょぬれになりながら大人も子どもも楽しんでいました。テーマパークのコースターなども日本よりは“絶叫度”が高め。レゴランドは対象年齢が低いので絶叫系アトラクションは控えめ…というのは思い込みだったようです。

日本にないキラーコンテンツ

アトラクションの種類が40近くの日本に対して、70以上あるマレーシアの方が圧倒的に選択肢の多いのは間違いありません。ただ、ここは好みが分かれるところで、息子さんにとってはマレーシアのアトラクションの充実ぶりもいいけれど、日本の「サブマリンアドベンチャー」など“おとなしめ”な乗り物も決して悪くないと言います。

世界の名所や有名建築などをレゴブロックで再現する「ミニランド」も、息子さんは身近な名古屋の街並みが見られるジャパンの方もお気に入り。ただ、写真を見せてもらう限り、マレーシアのミニランドもアンコールワットからタージマハール、ミャンマーの船上寺院、シンガポールのマーライオン広場などまで、かなりエキゾチックで魅力的。

レゴブロックでつくられたカンボジアの世界遺産、アンコールワット

そして圧巻だったというのは「スター・ウォーズ」のミニランド。言わずもがな、映画『スター・ウォーズ』の世界をレゴブロックで表現した屋内展示です。R2-D2やC-3PO、ヨーダやダースベイダーといったおなじみのキャラクターが躍動する数々の名場面が、約150万個のブロックで組み立てられています。

スター・ウォーズの一場面もレゴで再現

スター・ウォーズシリーズのレゴは市販品としてありますが、プロのつくったものはスケールも精巧さも別格。スター・ウォーズファンというわけではない女性にも十分楽しめたそうです。期間限定ではない常設展示で、マレーシアのほか欧米のレゴランドには取り入れられています。

「レゴ自体はキャラクター性が弱いと言われるのは確かにその通り。だからこそ、誰もが知っているおなじみのキャラクターやコンテンツがレゴブロックで出来ることに夢があるのだと思う。スター・ウォーズは日本でもファンの多いキラーコンテンツなのに、日本で見られないのはすごく残念だし、もったいない」という女性の指摘には、深くうなずけました。