はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
家計の改善ができません。老後や子どもの教育費が心配なため貯蓄をしたいのですが、なかなか貯まりません。何から手をつけたらよいのでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・男性、31歳、既婚(妻:自営)、子ども1人(4月から幼稚園)※もうすぐ2人目が生まれます。
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:22万円(妻の収入は不明)
・手取り年間ボーナス:15万円×2回
・毎月の支出目安:約21~22万円
・総資産:30万円
【家計の内訳(21.9万円)】
・住宅ローン・火災保険:5.5万円
・保険料:3.4万円(自動車保険、夫婦の医療保険、収入保障、子どもの医療保険、学資保険)
・光熱費:2万円
・通信費:2.3万円(携帯・固定電話・Wi-Fi)
・車両費(ガソリン代含む):1.5万円
・食費:3.5万円
・日用品代:1.5万円
・医療・美容費:1万円
・教育費:1.2万円
※ボーナスは全額予備費に回して、税金や車検費用、赤字の月の補填に使用しています。今年は、冠婚葬祭や携帯が壊れるなど出費が多く、貯めていたお金で補いました。
花輪: 貯金をしたいけど貯まらない一番の原因は、夫婦の間でお金のブラックボックスが多いことです。
妻の収入もしっかり把握を
妻の収入は不明ということですが、妻の収入支出をざっくりでもよいので把握して、二人で家計を見たり話し合うようにしましょう。メインで生計を立てている人以外は、自分の収入を好き勝手に使ってよいとしている家庭もありますが、よほど収入が高い場合は別として、それでは思うように貯まらないのです。
たとえば、月1万円でもよいので、奥さんに家計に入れてもらうなどの話し合いは必要です。これからお子さんも新たに誕生するということで、お金の入り用も増えるからです。
家計の見直しで支出を絞る
現在、家計の中で見直しができそうなのは、保険料です。月3.4万円は平均的な家庭と比べても高いです。
たとえば、子どもの医療保険。自治体によって対象年齢は変わりますが、未就学児に対してはほとんどの自治体で医療費助成が受けられます。子どもにかかる医療費が高額になると考えにくい場合は、解約をして、その分を貯金に回すのも一つの手です。
通信費も見直す余地がありそうです。たとえば、スカイプなどのインターネット通話を利用すれば、固定電話がなくても安価な料金で携帯電話や固定回線にも電話をかけることができます。携帯電話も格安スマホに変えるなどをすれば、通信費を5,000円程度絞れる可能性があります。
ブラックボックスを解消してから貯金を
ボーナスを全額予備費に回して、税金や車検費用、赤字の月の補填に使用しているという方法はとてもよいです。これは、続けてください。その上で、将来貯めなければならないお金について二人で話し合い、奥さんの収入から貯金をするなど方法を考えましましょう。
相談者さんは31歳と若いため、子ども二人が独立をする年齢になっても、まだ50代です。教育費の支払いが落ち着き、住宅ローンの完済が見えてきてから、老後資金をラストスパートで貯めていくことができます。
しかし、今から無理のない金額で貯め始めないと、教育費や老後資金が足りないということになりかねません。まずは、夫婦のお金のブラックボックスをなくすところから始めましょう。