ウォーレン・バフェットという名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。おそらく、「世界一有名で偉大な投資家」と言い切っても差し支えないでしょう。

バフェットは1930年ネブラスカ州オマハ生まれの御年88歳にして米国で上場している投資会社バークシャー・ハサウェイ(時価総額約58兆円!)のCEOを務めています。

バフェットが偉大な投資家として尊敬されている一番の理由はなんと言ってもその卓越した投資成績で、バークシャーは米国の代表的な株価指数であるS&P500を遥かに上回る成績を長年続けてきました。S&P500自体が過去50年間の年率平均リターンが約7%ですから、それを上回るというのは本当にとてつもない成績です。

その他にも莫大な金額の寄付やウィットに富んだ発言の数々からいつしか彼は「オマハの賢人」と呼ばれるようになりました。今回はそのバフェットの投資法の一端をご紹介します。


バフェットの考え方

「投資家の目的は、簡単に理解できる事業を行っていて、5年・10年・20年後に今よりもっと利益を稼いでいる企業の株式を適切な価格で買うことである。」ウォーレン・バフェット(1996年「株主への手紙」より)

これはバフェットがバークシャーの株主に対して1996年に送った「株主への手紙」の一節です。「5年・10年・20年後に今よりもっと利益を稼いでいる企業を買う」と書いている通り、バフェットは企業が将来稼ぐ利益をとても重要視していることがわかります。本当に企業の業績と株価は関係があるのか、私達の身近な例を見てみましょう。

以下のグラフは、お寿司関連サービスを展開している4つの企業の過去10年間の業績を示しています。

くらコーポレーション(くら寿司)と元気寿司が順調に業績を拡大している一方で、カッパクリエイト(かっぱ寿司)は伸び悩んでおり、小僧寿しに至っては10年前と比べて売上が5分の1程度まで減少しています。では次に、この4社の株価の推移をご覧ください。

業績の良いくらコーポレーションと元気寿司の株価が大きく上昇しているのに対し、業績が伸び悩んでいるカッパクリエイトはほとんど上昇しておらず、小僧寿しにいたっては8割ほど株価が下落してしまっています。企業の業績と株価推移の間に強い相関があることをご確認いただけたのではないでしょうか。

日々の株価の値動きは需給要因によるところが大きいですが、中長期的に見ると株価と企業の業績のトレンドは驚くほど一致します。筆者はこれが株式投資の最もおもしろいポイントであり奥深さでもあると思っています。

バフェットの投資術

それではバフェットは具体的にどのように銘柄選びを行っているのか、2つのポイントをご紹介します。

1つ目は、「自分がわからない会社には投資をしない」ということです。それもそのはず、「将来に渡って成長が見込める企業」に投資するには企業の先行きを自分で分析・予想しなければいけません。自分自身が理解できない企業の将来を予想できるはずはありませんよね。

バフェットがITバブルの際に「わからない会社には投資しない」という哲学を貫きIT銘柄に投資をせず、大きな損を被らなかったことはとても良く知られています。

2つ目は、他社が真似しづらいビジネスモデルの存在です。バフェットはこのビジネスモデルのことを、お城を囲う“堀”に例えています。堀がないお城であればあっという間に敵に攻め込まれてしまいますが、堀があれば敵はなかなか本丸に攻め入ることはできません。

堀をビジネスに置き換えて考えると「他社が真似できない独自の技術を持っている」「規制などから参入障壁が極めて高い事業を行っている」「顧客の心をつかんで離さない強力なブランド力を持っている」などが考えられるでしょう。

最近バフェットはアップルの持つブランド力を讃えて「アップルの株価が下がると嬉しい。なぜならあの素晴らしい企業を安く買えるのだから。」と激賞しており、アップル株を長期間に渡って買い増し続けています。

簡単ではありますが、バフェットの投資術の一端をご紹介させていただきました。もっとバフェット流の投資術を知りたいという方は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術(日本経済新聞出版社)」や「株で富を築くバフェットの法則(ダイヤモンド社)」といった書籍に詳細な投資術が紹介されていますので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

(文:マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋裕  写真:ロイター/アフロ)