はじめに

そもそも主婦業は本当にラクなのか?

では、改めて問いたいと思います。専業主婦は、働くよりもラクなのでしょうか。先ほど紹介したフリーコメントには、「外で働いている方が楽だとずっと思っていた」という声がありました。主婦業の大変さを如実に物語っています。

例えば毎日の料理。仮に一日3食作るとすると、一年で365×3=1095食にも及びます。仮にそれを10年続けたら1万950食。これだけの回数の料理を作っていること自体、すごいスキルと労力です。さらにはその前工程として、家族の健康や好みに配慮したメニューを考え、買い物に行き、食後には毎回後片付けをしているのです。

実際には主婦業の範囲はそれだけにとどまりません。色々なタイプのご近所さんとの付き合い、自治会、PTA、そして子育て。家周りの仕事には様々なバリエーションがあり、中には切り盛りするのが相当大変な、難易度の高い仕事もあります。

仮にこれが、企業が敢えて用意した研修だとしたらどうでしょう。通常の職場では決して経験することのできない、相当ハードで貴重な研修だと言えるのではないでしょうか。

主婦業で磨かれる『家オペ力』

しゅふJOB総研では、そんな家周りの仕事を切り盛りして培われてきた力を『家オペ力(いえおぺりょく)=家仕事をオペレーションする力』と名付けました。

家オペ力は、「ご近所づきあい」「ママ友・パパ友との交流」「子どもの習い事」「PTA活動」「自治会またはマンション管理組合」「家計管理」「子育て」「家事」「ボランティアなど自主活動」の9つのシーンと、「コミュニケーション力」「リーダーシップ」「マネジメント」「企画・提案力」「プレゼンテーション力」「交渉力」「コスト改善」「段取り力」「忍耐力」の9つのスキルに分解して把握することができます。

例えば、「ご近所づきあい」というシーンにおいて「マネジメント」スキルを磨いて家オペ力が培われたケースを事例形式で表現してみると、以下のようになります。

[シーン] ご近所づきあい
[スキル] マネジメント
積雪の際、ご近所さんに呼びかけて有志を募り、生活導線を確保するために周辺道路の雪かきを行いました。12名のメンバーを3班に分け、お子さんが小さいご家庭とお年寄りだけのご家庭の前の雪を重点的に取り除き、とても感謝していただけました。

主婦業は生活する上で不可欠の仕事

主婦が担っている家仕事は、生活する上で絶対に必要なことです。だからこそ、当たり前のこととして軽んじられてしまいがちなのだと思います。

しかし、実はそんな当たり前の日々の中で、知らず知らずのうちに磨かれたスキルがあり、繰り返し確実に主婦としての役割を果たし続ける中で、知らず知らずのうちに積み重ねられてきた実績があります。

それら秘められた家オペ力を発見するために開発したツール『家オペ力 マトリックス』の フォームと記入事例を、しゅふJOB総研ホームページ:調査結果一覧上で無料公開しているので、よろしければぜひ使ってみてください。今まで気づかなかった、あなただけの家オペ力が発見できるかもしれません。

これまでの社会の風潮は、ともすると、専業主婦期間をブランク(=空白)という一言で片づけてしまいがちです。とんでもない話です。実際には多くの実績とスキルアップ機会で満たされた期間なのです。

専業主婦期間をブランクと呼ぶ風潮が社会からなくなり、専業主婦の心の中から罪悪感が一掃される日が来ることを願っています。

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