はじめに

中国人旅行者数の推移との相関性は?

それならばということで、もう1つ、情報を追加しました。もしかしたら、これらの3業種の騰落率は中国からの旅行者の数と関連するのではないか、と考えたからです。

そこで図1において、国慶節がある月として毎年10月の中国からの邦日外客数(日本政府観光局公表)の値も折れ線グラフで並べました。しかし、中国からの邦日外客数は一貫して増加しており、業種の超過騰落率とあまり関係がありません。

業種で見てしまうとインバウンドと関係ない企業も同じくくりになってしまう点もあると思いますが、今回の結果から、国慶節後のインバウンド関連業種の株価は、中国からの旅行者数の動きと照らし合わせても、あまり関係がないようです。

ここまでの結論は、マスメディアなどで「国慶節で中国人旅行者が多く、インバウンド買いが多いと見込む」という趣旨の報道を聞いても、国慶節後にインバウンド業界の株価が上昇するという期待はあまり持てなさそうです。

国慶節後の株価は日中とも好調

なぜ、このような意外な結果になったのでしょうか。その一因として、次のようなことが考えられます。

中国人訪日旅行者数を月別に見ると、夏休みシーズンの8月や7月のほうがより多いのです。ちなみに昨年だと、8月がトップで82万人、次いで7月の78万人でした。

10月は少なくはないですが、12ヵ月のうち4番目です。国慶節の1週間は集中的に旅行客が多いのですが、夏休みシーズンはどこかの1週間に集中することなく、月間を通じて多くなります。ですので、インバウンド関連業界の株価を考えるなら、むしろ夏の時期に中国人訪日旅行者数と株価を分析したほうが良いのかもしれません。

少しもったいをつけるようで恐縮ですが、この分析は今後に譲って、実は今回、面白い傾向を見つけました。単純に国慶節が終わって、1ヵ月間の日経平均は、過去6年間すべて上昇していました。

国慶節からは少し離れてしまいますが、例年この時期は3月期決算企業の上期決算発表のタイミングです。近年は好調な業績トレンドが続いていることも、株価上昇の要因として挙げられます。

ちなみに、中国株(上海総合指数)も2013年以外はプラスでした。好調な中国株が日本株の連動高をもたらす時期なのかもしれません。シンプルに考えて、国慶節後の堅調な相場が期待されるでしょう。

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