はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

年収130万以内のパートで働き、主人の扶養に入っています。税金の支払いとiDeCoについて教えてください。年収を103万円に抑えている場合と130万円まで働いた場合で税負担に違いはあるのでしょうか。また、iDeCoに月2万3,000円を拠出する場合、年収103万円と130万円では税金や社会保険料の負担に違いはありますか。


〈相談者プロフィール〉
・女性、54歳、既婚(夫:会社員)、子ども2人(大学生)
・職業:パート・アルバイト
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯年収:1,000万円
・毎月の支出目安:50万円
・貯金:1,500万円
・投資:700万円


花輪: どうせ働くなら効率よく手取りを増やしたいものです。夫の扶養から外れないよう気をつけながら自分の税金を減らし、手取りを最大限にしたいのではないでしょうか。

住民税と所得税、年収いくらから課税?

まず、妻自身が支払う住民税、所得税等のラインを確認しましょう。

年収103万円で企業でパートで働く場合、給与所得控除65万円と基礎控除38万円を使うことができるので、所得がゼロになります。年収103万円を超えて働く場合は、課税される所得金額が195万円以下であれば税率は5%です。

東京23区の場合、年収が100万円以下であれば住民税はかかりません。

iDeCoの控除で、年収130万未満でも課税されない?

IDeCoを活用することで減らせるのは、税金の部分です。年収103万円を超えて働いたとしても、iDeCoを積み立てると積立額は全額所得控除されます。

ただし、気をつけないといけないのは、もうひとつの「130万円の壁」です。一定収入を超えると、社会保険料を自ら負担しなくてはならないからです(一部の企業では年収106万円)。

これを超えないように、たとえば年収を129万円に抑えて、iDeCoを満額の月2万3,000円、年27万6,000円積み立てれば、所得控除分が差し引かれるので、税金もかからず、社会保険料の負担もないということに理論上はなります。

一部の企業では年収106万超で社会保険料の負担も

社会保険の扶養に関しては、2016年10月の社会保険制度の改正により、これまで年収130万円以上のパート労働者が対象だった社会保険料の負担が、大企業で働いている人など一部の人を対象として、年収106万円以上に引き下げられました。

社会保険料の負担は年間20万円前後と大きいために、ひとつの大きな壁となります。ご自身が130万円の壁なのか、106万円の壁なのかを勤務先に確認をしましょう。

また、勤務先の家族手当の上限も確認し、支給が止まらないようしたいところです。

iDeCoに拠出するといくら節税できる?

IDeCoに拠出することで減らすことができる税金は、国民年金基金が運営する「iDeCo 公式サイトかんたん税制優遇シミュレーション」でも試算が可能です。

たとえば、「年収129万円・年齢54歳・掛金2万3,000円」でiDeCoに加入した場合、1年間で所得税と住民税を1万1,484円減らすことができるという結果になります。これはあくまでも、ある前提条件の上で目安になる額なので、参考程度に考え、具体的には税理士などの専門家に相談をするのもひとつです。

IDeCoの掛け金は月5,000円から1,000円単位で設定でき、専業主婦の場合は2万3,000円が上限です。運用中の税金は非課税で、受取時にも税制優遇措置があります。収入が少ないから関係ないというわけではないのです。

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