はじめに

会社で企業型確定拠出年金に加入している場合、年1回のタイミングで「確定拠出年金と退職金前払いの選択割合」についてお知らせがあるかと思います。なんとなく現状維持にしている場合、自分の選択を正しく理解しているのか?今いちど確認しておきましょう。


企業型確定拠出年金の選択制とマッチング拠出、その違いは?

企業型確定拠出年金にはマッチング拠出と選択制といわれる2つのパターンがあります。マッチング拠出だけの会社もあれば選択制+マッチング拠出の両方を導入している会社もあります。自分が加入している制度について、いまいちわからない時には、会社の総務・人事など担当部署に確認しておきましょう。

マッチング拠出とは?

事業主である会社が拠出する掛金に上乗せして、加入者である従業員が自ら拠出することをマッチング拠出と言います。具体的には、加入者が給与として受け取った所得から掛金を積み立てます。この掛金については所得控除の対象となり税金が掛かりません。

選択制とは?

マッチング拠出とは異なり、掛金については事業主である会社が全額拠出をします。選択制といわれるのは、確定拠出年金の掛金として拠出するのか、または掛金として拠出する代わりに毎月の給与に上乗せして退職金(年金)前払いで受け取るのか、その選択権を従業員が持つことからそのように呼ばれています。

会社が選択制を導入する背景には、従来あった企業年金制度の見直しがあります。簡単にいうと将来受け取る企業年金の運用責任が会社にお任せから社員個人の自己責任になったことが一番大きなポイントです。ですから、この選択について正しく理解しておくことはとても重要になります。

選択制の場合、お得なのはどっち?

選択制の企業型確定拠出年金に加入している、あるいはこれから加入することが決まっているという方へ重要なポイントについてお話ししたいと思います。すでに加入している場合には、1年に1回運用比率を変更することができるので、その際の参考にしてください。

退職金(年金)前払いで受け取ると実際の手取りが減ってしまう!

たとえば、5万円を退職金(年金)前払いで受け取るときは、「給与」として受け取ることになるため、税金と社会保険料が引かれることになります。所得税の税率は所得により異なりますが、年収500万円の人の場合、所得税率10%とすると5万円に対して所得税5,000円が引かれます。

その他に住民税10%(5,000円)、健康保険・厚生年金など社会保険料は給料の15%(7,500円)になります。つまり、実際の手取りは3万2,500円となり、1万7,500円は税金と社会保険料で引かれます。これは1か月当たりですので、仮に40歳から60歳までとして計算すると累計420万円が引かれることになります。

確定拠出年金の拠出にすると全額運用に回せる!

いっぽう5万円を確定拠出年金の掛金として受け取るときは、5万円全額を受け取ることができるので全額を運用に回すことができます。というのも確定拠出年金は私的年金として国が定めた制度で、60歳まで引き出すことができないという制限があるものの税金・社会保険料が一切かからないという優遇があるのです。

一見すると、全額確定拠出年金の掛金とするのがお得!と思ってしまいますが本当にそうなのでしょうか?

なお、会社が負担する金額は社員の年収により異なりますが、確定拠出年金の掛金については他の企業年金がない場合、制度上の拠出金額上限は月5万5,000円と決められています。