はじめに

22万組以上の住宅選びの相談に応えてきたスーモカウンターが、住まいの悩みに答えるシリーズ。今回は、住宅・不動産総合サービス「SUUMO」の田辺貴久・副編集長がお答えします。


39歳の独身女性です。今は恵比寿に住んでいます。広告代理店勤務で年収は800万円です。今住んでいる賃貸マンションは、来年で8年目になります。年齢的にもそろそろマンションを購入したいと思っているのですが、希望のエリアで思うような物件がなく困っていて……。


購入するからには、結婚した場合や子供ができた時のことも考えて、最低でも2LDKは欲しいと思っています。通勤や買い物、資産価値も考えると、希望は港区、渋谷区、目黒区です。ただ、物件価格を見ると、さすがに1人で抱えるには金額が高すぎて……。


条件に合う物件が出てくることを待っていても、ただ時間が経過するばかりです。どうすれば購入できるでしょうか。


【相談者プロフィール】
・本人:39歳(会社員)
・家族:独身
・現在の住居:賃貸マンション(家賃12万円)

田辺: ご相談ありがとうございます。今回は住宅購入を進めるうえで大事な、条件の優先順位の付け方を考えてみましょう。

新築マンション価格は2010年の1.4倍

初めに言ってしまいますが、相談者の場合、「広さ」か「エリア」か、もしくはその両方を譲らないと購入は難しいでしょう。

不動産、特に新築マンションの価格が上昇していることは、さまざまなメディアでも取り上げられている通りです。国土交通省が発表している「不動産価格指数」によれば、2018年の新築マンションの価格は、2010年の水準と比較して1.4倍になっています。

今後、不動産価格がどう変動するかは一概には言えませんが、建築費が高値で横ばいとなっている状況からして、価格が突然下がるということは考えにくいでしょう。

相談者は、結婚したり子供を持った場合にも対応できる住まいとして「2LDK」を考えていますが、将来の家族構成もどうなるかはわかりません。であれば、今のことを考えて、今の暮らしに合う「広さ」や「立地」で住まいを探すことが、結果的に住んでから「こうじゃなかった」とならない賢明な選択につながるはずです。

価格より毎月の返済額に目を向ける

冒頭にお伝えしたように、確かに物件価格は以前よりも上昇しています。しかし、逆に住宅ローンの金利は下がっていることも、また事実です。

返済終了まで金利が変わらない住宅ローンの代表的なものに「フラット35」があります。このフラット35の2010年4月の最低金利は2.59%でした。それが2018年10月の最低金利は1.41%です。

フラット35は2017年10月から、団体信用生命保険という万一の時に住宅ローン残額が清算される保険の保険料分が加えられた金利となったので、同一条件の比較ではないのですが、それでも1.18ポイント下がっています。

住宅ローン金利は消費税のように、購入時に一度だけ発生するものではなく、ローン残高に都度課せられるものなので、たった1%の違いが大きなインパクトになります。

たとえば月12万円の返済でいくらの住宅ローンを借りられるかというと、金利が2.59%の場合は約3,300万円なのに対し、金利が1.41%だと、同じ月12万円の返済で約3,950万円の借り入れができます(どちらも全期間固定金利、元利均等返済方式、35年返済の場合)。

確かに物件価格は上がっていますが、住宅ローン金利も下がったことで、返済額への影響はそれほど大きくはないのです。

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