はじめに
「リスクをとる」ことはチャンスへの挑戦
こんな例はどうでしょう。あなたは体操競技の選手です。今、競技の真最中で、難度の高い技で勝負すれば優勝に手が届く位置にいます。しかし無難な技でも上位入賞は確実です。一方、難しい技で失敗すれば、入賞を逃してしまうかもしれません。さて、どちらを選ぶべきでしょう。
もちろん正解はありません。どちらを選ぶか、個人の選択です。優勝は諦めて入賞を確実にするも良し、優勝を狙って勝負するも良し。
もうお分かりとは思いますが、前者は「リスクを避ける」選択、後者は「リスクをとる」選択です。「リスクを避ける」と結果が確実になる代わり、大きな成果は得られません。
一方「リスクをとる」ことによって、結果は不確実になりますが、大きな成果を得る可能性が出てきます。
能動的に「リスクをとる」のは、チャンスへの挑戦です。現状よりも高い目標に達するために必要な通過点です。昔から「失敗は成功のもと」などと言ったりしますが、これは「失敗するリスクを避けて通っていては成功はあり得ない」ということでもあるのです。
より良くするために向き合う「リスク」
新しいこと、新しいものを試してみる、というのも、リスクをとる行動です。買い物に行って、食料品売り場で食べたことのない野菜を見かけたら、どうでしょう。とてもおいしそうで値段も手ごろであれば、買ってみたいな、と思う一方、もし美味しくなかったら、と思うと心配ですよね。
でも、料理のレパートリーを広げ、食事の楽しみを豊かにしようとすれば、新しい食材を試すというリスクをとることも必要になります。現状に甘んじないで、もっと良くしよう、もっとレベルを上げようとするならば、リスクをとって新しいことチャレンジしなければならないということなんです。
こんなふうに、私たちは色んなリスクをとりながら、日々生活しています。投資や資産運用に関わる「リスク」も、元をたどればこうした日々のリスクと何ら変わらないのですが、経済や金融、また投資活動に特有の部分もあります。それらについては、回を改めてお話ししましょう。