はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。

3人目の子どもを作るかどうかで悩んでいます。現在の仕事は残業がほとんどなく、収入的に少々不安です。去年の世帯収入は額面で570万円。貯金がある程度ありますが、将来のためには定期預金だけでなく、株などで運用をした方がよいのでしょうか。アドバイスよろしくお願いします。


〈相談者プロフィール〉
・男性、38歳、既婚(妻:専業主婦)、子ども2人(8歳・4歳)
・職業:会社員
・年収(額面):570万円(手取り月収30万円)
・預貯金:750万円
・国債:100万円
・学資保険(払込済):150万円
・自社株:40万円
・確定拠出年金:月1万円(60歳時に2,000万円)
・個人年金:年10万円(60歳時に480万円)


【家計の内訳】
・食費:7万円
・教育費:5万円
・交通費:2万円
・光熱費:2万円
・通信費:2.5万円
・生命保険:2.5万円
・娯楽・交際費:4万円
・日用品・衣料費:1万円
・医療費:1万円
・財形貯蓄:3万円
※住宅ローンは完済済み。
※今後、車の買い替え(ミニバン、軽)を予定しています。


野瀬: いただいた情報から、実際よりも保守的に、昇給・退職金なしという状況で、85歳までの資産状況をシミュレーションをしました。その保守的な数字だけを見ると、3人目は少し難しいという結果になってしまいます。理由は、現在の子ども2人のままでも、確保できる老後資金が少しばかり心許ないからです。

もちろん、ご質問者は厚生年金も出ると思いますし、持ち家で借金がないことや、実際には一般的なサラリーマンの水準で給与が上昇し、退職金も支給されるかもしれないことを考慮すると、致命的とはいいません。しかし、余裕があるとまではいえない状況です。そのため、“数字だけ見ると”3人目は避けたほうが良いのでは、という結論になってしまいます。

ただ、それでは面白くないので、少し前向きにご相談者のアドバンテージや可能性を見ていきましょう。

家計からみた4つのアドバンテージ

1.生活費がすでにある程度スリム

いただいた情報から、ご質問者の生活費はある程度スリム化されていると思います。人間、一度生活水準を上げてしまうと落とすのは難しいのですが、すでにムダが省かれているのは好感が持てます。特にこれは、養育費がかからなくなった時の将来の生活費の圧縮にもつながりますので、長期的に大きなアドバンテージだといえます。

2.持家があり借金なし

持家があり、かつローン残高が一切ないのは強みです。老後まで住む家を確保できているので、老後資金が大きくなくても、ある程度までは乗り切れるでしょう。

3人目を考えているとのことなので、戸建てなのかもしれませんが、もしマンションなら、老後はそのマンションを賃貸に出して、別のコンパクトな賃貸物件に住むことで、差額を年金の補充に充てるという選択肢もあると思います。

3.お子さんの年齢

2人のお子さんの年齢から考えても、今のお子さんが4歳違いで、3人目が今からできても、4歳以上離れることになりますので、一番お金がかかる大学時代が重なるということがありません。

地味ですが、家計の負担を考えると見逃せないポイントです。

4.「子どもが好き」ということ

これはマネーの話ではないのですが、「可能であればもう1人子どもが欲しい」と思うということは、ご相談者(奥様含む)はお子さんや子育てが大好きなのだと思います。これは、お子さんを育てる中で、大きな強みだと思います。

さて、そんな中で家計のシミュレーションをいろいろと触りながら、打てる手を考えてみました。参考になれば幸いです。

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