はじめに

年収が103万円を超えてしまったら……

それでは早速、103万円の壁を超えて年収110万円稼いでしまった場合を例にして見ていきましょう。

まずは妻が自分自身の税金を支払う必要がでてきます。所得税が3,500円、住民税が14,500円(東京都の場合)、あわせて年18,000円の税負担となります。また妻の職場が従業員501名以上の企業で、週20時間以上、1年以上働く場合には、このほかに約15万円もの社会保険料の負担も発生することになります。こちらは別の記事でもご紹介していますので、そちらも参考にしてくださいね。

EMBED::https://moneyforward.com/media/life/25967/

次に、夫の年収が500万円の場合の、夫の負担増について見ていきましょう。所得税が7,100円の増加、住民税が2,000円の増加、あわせて年9,100円の税負担となります。妻とあわせると年27,100円もの税負担が増えることになります。

ただ、社会保険のように壁を超えたからといって急に負担額が増えるわけではありません(下図参照)。「配偶者特別控除」という制度があり、夫の合計所得金額が1000万円以下の場合には一定の控除を引き続き受けることができるのです。

妻の年収が103万円を超えてしまった場合でも税金は少しずつ増えていくため、負担感は少なくなります。

〈妻の給与収入と夫の税負担の関係:夫の年収500万円の場合〉

配偶者(妻)の給与収入配偶者特別控除の金額相手(夫)の税金への影響額
103万円を超え105万円未満38万円0円
105万円以上110万円未満36万円2,000円
110万円以上115万円未満31万円9,100円
115万円以上120万円未満26万円19,200円
120万円以上125万円未満21万円29,300円
125万円以上130万円未満16万円39,400円
130万円以上135万円未満11万円49,500円
135万円以上140万円未満6万円59,600円
140万円以上141万円未満3万円65,700円
141万円以上0円71,800円

[[※年収103万円と比較した場合の税金の影響額を記載しています。
※夫の「合計所得金額」が1000万円を超える場合は、配偶者特別控除の適用を受けられません。給与収入のみの場合、夫の年収が1230万円を超えると配偶者特別控除の適用を受けられなくなります。]]{class="small-text"}

2018年からの新たな制度の概要とは!?

ここまでは2016年12月現在の制度について解説してきました。ここからは、2018年1月から適用される予定の、新制度について解説していきたいと思います。

12月8日に与党から税制改正大綱(自民・公明両党による、税制改正法案のもとになるもの)が発表されました。このまま年明けの通常国会で法案が可決されれば(3月末ごろに成立することが多いです)、2018年から配偶者控除の制度が新しくなります。

まず、今までの配偶者控除と同額の38万円控除が適用される妻の年収が、103万円から150万円まで引き上げとなります。今までは妻の年収が103万円を超えると、(1)妻の税負担とともに、(2)106万円や130万円を基準に妻の社会保険の負担が加わり、(3)夫の税負担の増加とトリプルパンチで負担増となっていました。法案が可決されれば、高額所得者を除いて(3)夫の税負担は減ることになります。

夫の年収によっては増税になる!?

ただ、夫の年収が高い場合には注意が必要です。配偶者控除の見直しによる税収減を補うため、夫の年収が1120万円を超えると配偶者控除の金額が徐々に減っていき、1220万円を超えると配偶者控除の対象外となる予定です。

今までは配偶者控除を受けるのに夫の年収制限はありませんでしたが、今回の改正で新たに年収制限が設けられることになるのです。このため、夫の年収が1120万円を超えるご家庭では、今回の見直しで増税となるでしょう。


また今回解説した「配偶者特別控除」についても金額が拡大となり、妻の年収が150万円を超えても201万円以下であれば一定額の控除を受けられそうです。

ゆっくりとではありますが、女性活躍推進のために税制面などでも後押しが始まってきています。配偶者控除の見直しが決まり、国家公務員の扶養(配偶者)手当の見直しも決まれば、2020年のオリンピックイヤーに向けてますますこの動きは加速していくことでしょう。

この機会に働き方を見直して、2018年からはたくさん稼いで家計収入を大幅にアップさせる人も増えていくのかもしれませんね。

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