はじめに
東京都心やその近郊に家を持つと、相続税がかかる時代がやってきました。そのため富裕層以外においても、タワーマンション購入が有効な節税手法となっています。流行りの節税方法がうまれると、税制改正によって法の網にかけられるようになります。平成29年度の税制改正にむけて税制改正大綱が発表になりましたが、果たしてタワマン節税にはどのような網がかけられたのでしょうか。
相続税を支払う人が増えている
相続税は2015年から大増税となり、相続税を納めることになった人が前年と比べて1.8倍に増えたそうです。2015年に亡くなった人のうち8%、約12人に1人の割合で相続税を納めたことになり、相続税がかなり身近なものになってきました。これは、相続税を計算するときに相続財産から差し引くことのできる「基礎控除」というものが、2015年から大幅な減額となったためです。
たとえば法定相続人が配偶者と子供2人の場合、2014年までは基礎控除額が8000万円あったのですが、2015年からは4800万円に減ってしまいました。つまり、2014年までは8000万円までの財産には相続税がかからなかったのが、2015年からは4800万円を超えると相続税がかかるようになってしまったというわけなのです。
わが家の財産は自宅と少しの貯金だけだと思っていても、実は相続税を支払わなければならなかったという人が今後も増えることでしょう。特に、地価の高い東京23区内に戸建をお持ちの方は、他人事ではありません。
実際に、2015年以降にお亡くなりになった方の相続では、小規模宅地の特例や配偶者の税額の軽減などの特例措置を利用して、何とか相続税を払わずにすんだという方も出てきています。ただし、これらの特例を利用するためには相続税の申告が必要なのです。
タワマンを買う人が増えたワケとは・・・
相続税の計算をするときに大きな影響を与えるのが、土地の財産価格です。家は古くなればその分価値が減少し、相続財産としての評価額も下がっていきます。しかし、土地は時価をもとにした価格(実際には路線価を使うことが多く、路線価は毎年1月1日の公示価格の8割程度となります)で評価されます。土地は長く保有していても価値が減らないばかりか、値上がりすることも多々あります。都心及びその近郊の土地、地方でも主要駅付近の土地などは、高値安定しているため注意が必要です。
ここで100㎡の家を購入する場合を考えてみましょう。
もし戸建であれば、2階建ての家を建てる場合でも土地面積は100㎡以上あることが多いです。ところがマンションであればどうでしょう。仮に1,000㎡の土地に5階建て、1フロア4邸で全20戸、各部屋100㎡のマンションがあったとします。そのうちの1室を購入する場合、土地面積は部屋の広さに応じて按分されるため、土地の持分はわずか50㎡となるのです。さらにこれが30階建てのタワーマンションであれば、敷地面積も広くなりますが、土地の持分は20㎡ほどになるのではないでしょうか。タワマンは地価の高い便利な立地にあったとしても、土地の持分は少なくて済みます。
つまり、相続税を計算するときの土地の評価額が抑えられることになるのです。