はじめに

税制改正はどれくらい影響するか

駅からも近く、便利でオシャレなタワーマンションに住んだ方が相続税のかかる可能性が低いのであれば、タワマンに住まない手はありません。維持管理の手間がかかる戸建より、タワマンを相続財産として残してあげた方が、子どもたちも喜ぶかもしれません。そうなると、気になるのは税制改正の影響です。タワマン節税が流行れば流行るほど、税務当局の方では公正に課税するための対抗策が練られます。今回の改正案でも、固定資産税や不動産取得税に関して見直しが行われています。

12月8日に公表された税制改正大綱では、固定資産税、都市計画税、不動産取得税ともにタワーマンション(高さ60mを超えるもの、階数に直すと20階建て以上が目安となります)の場合には、階数に応じて税額に差をつけることになりました。仮に1階の部屋の固定資産税が毎年20万円だとすると、41階の同じ部屋では固定資産税が毎年22万円になります。この増税額は妥当なのでしょうか。

この改正は平成30年度から新たに課税されることになるマンションだけに適用されます。また平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸がある場合、そのマンションも適用対象外となります。ですので、すでにタワーマンションにお住まいの方、売買契約締結済みの方はご安心ください。

タワマンの階数と値段の関係

一般に、マンションは階数が上がるごとに眺望や日当たりがよくなるため、少しずつ値段も上がります。まったく同じ間取りで目の前に眺望をさえぎる建物がなかったとしても、新築の場合は1階階数が上がるごとに30万円~100万円ほど販売価格が変わってくるのが普通です。

この計算でいくと、1階の部屋が3500万円で売りに出る場合、1階階数が増えるごとに50万円ずつ価格が上がるなら、41階の部屋は5500万円になります。固定資産税の差額はわずか1割程度ですが、実際のお値段は1.5倍以上も違うという計算になるのです。部屋の値段が2000万円違っても、毎年の固定資産税は2万円しか違わないとなれば、なんだか不公平な気もしますね。

タワーマンションでは、最上階はプレミアム住戸といって天井が高かったり、設備が豪華だったりと、他の部屋の倍以上の値段で売り出されることも多いです。この場合は、その差異に応じた補正を行って固定資産税などが計算されるようですが、どこまで実行力があるのでしょうか。相続税を計算する際のタワマン高層階の評価方法については、増税を伴う変更が噂されつつもまだ明言はされていません。お金持ちは高層階を高い値段で購入して相続税を節税する、この手法は今のところまだ有効なようです。

新築で購入すると階数が上がるごとにお値段も上がるタワーマンションですが、中古の場合はそうでもありません。同じ位置、同じ間取りの部屋でも、下の階の方が高値で売れるということもあります。

一国一城の主、戸建に住むのも魅力です。しかし同じ値段なら、タワーマンションで眺望の抜ける中層階のお部屋を購入して相続税の節税を狙うとともに、購入時よりも高値で売れるかも、という淡い期待を抱いてみるのも夢があるかもしれませんね。

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