はじめに

日本で唯一の、国会に属する国立の図書館である国立国会図書館。1948(昭和23)年に開館し、現在、東京本館は千代田区永田町にあります。この他、京都府相楽郡にある関西館、東京都台東区(上野公園)に国際子ども図書館があります。これら三つの施設が一体となってサービスを行っています。

初代館長は、日本国憲法制定時の憲法担当国務大臣でもあった金森徳次郎。「真理がわれらを自由にする」という理念のもと設立されました。

ここには、1948年以降に日本国内で出版された本が広く収集、保存されているほか、それ以前の日本の出版物なども数多く保存されています。まさに、「日本で最も出版物が揃っている図書館」といって間違いありません。

そんな国会図書館、「名前は知っているけれど、一度も行ったことがない」という人も多いのではないでしょうか。実は、満18歳以上であれば誰でも無料で利用できるのです。


日本一の図書館が「国会」を名乗っている理由

国立国会図書館には、大きく三つの役割があります。一つめが国会議員の活動をサポートすること。二つめが、資料、特に日本の出版物を広く収集し日本の文化的財産を守ること。三つ目が、国民に資料を提供すること。一つめの役割が、「国会」図書館たるゆえんです。

国会議員は、一般来館者と同じように自身で国会図書館に訪れて資料を利用できるだけではありません。国会図書館に対し、国政についての幅広い分析や、国会での質問に向けた資料の準備を依頼することができます。

国会議員から寄せられる依頼の数は、なんと年間で約3万6000件にも及びます。国会議員の活動は多岐にわたっており、国会議員の活動をサポートするための職員は、全職員880人の約4分の1にあたる200人。「半日で答えが欲しい」という要望もざらで、依頼を受けると、所蔵する資料やデータベースをフル活用して調査。迅速かつ適確な対応を行っています。

テレビの国会中継をよく聞いてみると、国会議員から「国立国会図書館の調べでは~」といった発言がなされることがあるのがわかります。活発な議論が生まれるのは、国会図書館の職員達が、その「縁の下の力持ち」として支えているからこそ、なのです。

国会議員以外の一般利用者は、もちろんオーダーメイドの調査をしてもらうことはできませんが、別の形でスタッフの手を借りることになります。というのも、国会図書館は、一部専門室の資料を除いて基本的に閉架式。書棚から各自が自由に手に取る開架式と違い、請求し書庫から出納されないと資料を閲覧できません。どのように資料を閲覧するのか見ていきましょう。

押さえておきたい利用時のキホン

国会図書館を初めて利用する人は、まず新館入口へ。利用者登録カードを作る必要があります。満18歳以上であれば国籍を問わず、誰でも作ることができますが、運転免許証などの住所・生年月日を確認できる身分証明書の提示は必須となっているのでお忘れなく。2回目からは、本館、新館いずれの入口も利用できるようになります。

資料を閲覧するには、基本的に館内にある端末を使って「国立国会図書館オンライン」にログインし、読みたい資料を検索して申し込みをします。


※国立国会図書館ウェブサイトより

「国立国会図書館オンライン」は国会図書館のホームページでも公開されており、所蔵しているかどうかは自宅などからでも確認可能。日本一の膨大な資料数を誇る図書館だけに、事前にアタリをつけてから来館したほうが効率的です。

国立国会図書館オンラインhttps://ndlonline.ndl.go.jp/

なお、必要な文献が決まっている場合は、来館しなくても、利用者登録をすれば「国立国会図書館オンライン」から複写の申込みをすることができます。

資料がカウンターに届いたら受け取りに行きましょう。資料の到着状況や受取場所は端末で確認できます。また、自分のスマートフォンやタブレットで「国立国会図書館オンライン」にログインして確認することもできます。国会図書館の資料は、館外持ち出し禁止。複写は有料で可能ですが、申し込みをした上でスタッフにお願いする形になります。

閲覧室は、本館には二階と三階に一つずつ。新館は雑誌カウンター正面にあります。

本館の二階の第一閲覧室などには、電源が利用できる席も。パソコンを持参して作業したい方は、こちらが便利です。

2018年4月には、障害者閲覧室が作られました。録音図書や点字データ、文字を読みとって音声で流す機器など、耳や指を使って本を読むことのできる仕組みが充実しています。席が限られているため、使用の際には事前予約がおすすめです。

混雑状況にもよりますが、申し込みから資料が到着するまでは約20〜30分。その間カウンターの向こう側では、いったい何が行われているのでしょうか。

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