はじめに

どうやって日本中の本を集めるの?

ところで、国会図書館ではどうやって、こんなに多くの本を集めているのでしょうか?

始めに触れた通り、国会図書館には、国内で出版された資料が広く収集されています。そのために作られた仕組みが「納本制度」。「国立国会図書館法」によって、一般販売される本を制作する出版社に限らず、公的機関や企業、各種団体等の出版物についても納本が義務付けられ、日本で出版された本は原則すべて納本、収蔵されるようになっています。

また、保存対象は本や雑誌、新聞だけに限りません。レコードや映像資料などもその対象。本以外にも様々な資料が収蔵されています。

こんなに多くの資料を収蔵して、地盤沈下を起こしたりはしないの? と心配になりますが、ご安心を。国会図書館の直下は、東京礫(れき)層と呼ばれる非常に硬い地盤になっており、書庫をしっかり支えています。

様々な意匠が彩る建物自体がアート

国会図書館の建物は、日本のモダニズム建築の巨匠・前川國男氏が設立した事務所による設計。氏は近現代建築界の革命児であるル・コルビュジエの弟子でもありました。

コンクリートで仕上げられているなめらかな本館のバルコニーには、コルビュジエからの影響が垣間見られます。

新館の吹き抜けには、4階まで吹き抜けのホールが。新館書庫と同様、上から陽が差し込む構造になっています。

コンクリートの表面に木目が残る柱や、鮮やかなステンドグラスが彩る、本館廊下も見所のひとつ。

床面の丸い不思議な紋様も独特です。

国会図書館では、シンポジウムや展示など、年間を通じて様々な企画も行われています。今年は、開館からちょうど70周年の節目の年。それを記念し、ジャンル・年代を越えて貴重な資料がずらり揃う展示会「本の玉手箱—国立国会図書館70年の歴史と蔵書ー」が、東京本館(〜11/24に終了)と関西館(11/30〜12/22)で行われます(展示内容は一部異なります)

入場無料で、入館カードが不要なエリアで行われます。18歳未満でも見ることができるので、これまで国会図書館に来たことがない方も、これを機に一度、足を運んでみてはいかがでしょうか?

国立国会図書館 東京本館
東京都千代田区永田町 1-10-1、東京メトロ有楽町線「永田町駅」2番出口 徒歩約5分、TEL:03-3581-2331、入館無料、9時30分~19時(土曜日は17時)、(書庫資料請求の受付9時30分~18時(土曜日は16時)、関西館資料取寄せの受付9時30分~18時30分(土曜日は16時30分)、即日複写受付10時~18時(土曜日は16時))、第3水曜日休館、日曜日休館、祝日休館、年末年始休館

文=木村美咲(風来堂)
(2018年11月25日公開日 更新)

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