証券会社に一定の保証金を担保として預けることで、保証金の約3倍の株取引ができる「信用取引」。「買い」しかできない「現物取引」とは異なり、「売り」から入ることもできるので、相場下落局面でも利益を出すことができます。

その反面、3倍のレバレッジをかけているので、投資金額次第では、株価急落局面で自己資金がゼロになるどころかマイナスとなり、負債を背負ってしまうリスクも存在します。それゆえ、現物株の取引はやっていても、信用取引には二の足を踏んでいる個人投資家は少なくありません。

こうした現状を変えようと、国内で唯一、信用取引向けの株券や資金の貸し付けを行っている日本証券金融(日証金)が重い腰を上げました。その一手とは、お堅いB to B企業のイメージからは想像がつかない、アプリの開発でした。


5つの機能で信用取引を徹底学習

日証金が12月3日にリリースした、スマートフォンアプリ「まじトレ!」。東京大学発のフィンテックベンチャー、Finatext(フィナテキスト)とパートナーシップを組み、共同で開発しました。

まじトレ!は、信用取引に関する正しい知識と投資力を身につけることを支援するアプリ、を謳っています。フィナテキストの調べでは、信用取引に特化した教育アプリは日本初だといいます。主な機能は5つ。その中でも中核的な位置づけになっているのが、「ペアトレ」という信用取引の体験機能です。

ペアトレでは、毎日テーマが変化し、そのテーマに合致した5~6銘柄から「買う」株と「売る」株を選びます。予想できる時間は、平日の15時30分から翌朝の9時まで(休日は終日可能)。買った銘柄が翌日に値上がりしていたり、売った銘柄が値下がりしていれば、ポイントが付与される仕組みです。


まじトレ!に備わる5つの機能のうち、左から順に「ペアトレ」「話す」「学ぶ」「マイページ」

このポイントを基にユーザーのランキングが作成されるほか、「学ぶ」という機能の中では獲得ポイント数に応じて3段階の難易度で信用取引に関する情報を得ることができます。

これらに加えて、「市況」ではファンダメンタルズの指標や経済ニュースをチェック可能。「話す」ではユーザー同士で情報を共有したり、意見を交換したりできます。また、「マイページ」では、これまでの勝率などを確認することが可能です。

初心者にもわかりやすく、情報を厳選

今回のアプリのターゲットは、株取引はしているけれど信用取引の経験はない、あるいは、始めてみたもののよくわからない人。フィナテキストの木下あかねさんによると、信用取引の口座数は現物取引の1~2割にとどまっており、潜在需要は数百万から1,000万が見込めるといいます。

こうした層に訴求するため、ペアトレでは2つの銘柄の値動きが直観的に伝わるように工夫したそうです。具体的には、さまざまな情報を表す数字がタイル状になっており、その数字を押すと、それに適した情報ページに飛ぶことなどが可能になっています。

一方で、初心者にも感覚的にわかってもらえるよう、掲載している情報は必要最低限のものに絞り込みました。「データを全部見たいのであれば、証券会社のサイトを見ていただいたほうが良いかもしれません。掲載している経済ニュースも、相場の全体感を知るための情報に絞っています」(木下さん)。

ただでさえ多くの情報があふれている株式市場において、判断材料が多すぎると、初心者は何からチェックすればいいのか、迷ってしまいがち。そんな初心者に信用取引への自信をつけてもらえるよう、日証金の知見も生かしながら、信用取引の基礎を知るために必要な情報に絞って表示しているのが特徴というわけです。