はじめに
日本の有休取得率は3年連続で世界最下位、有休取得日数も世界最少――。今年で10年目を迎える、総合旅行サイト「エクスペディア」による有給休暇の国際比較調査で、衝撃の結果が明らかになりました。
国会では、2019年4月から5日の有休取得などを義務付ける「働き方改革関連法」が成立。国を挙げて取り組まねばならないほど、日本の“有休不足列島”ぶりは大きな社会問題となっています。
こうした現状を打破する切り札として、旅行業界を中心に「ブレジャー」という新たな旅行スタイルを定着させようという動きが広がっています。具体的にどんなもので、どのような効果が見込めるのでしょうか。
有給取得率、取得日数とも日本は最下位
エクスペディアが12月10日に発表した「有給休暇・国際比較調査2018」。世界19ヵ国、18歳以上の男女1万1,144人を対象に、有休の取得状況などを調査したものです。
有休取得率では、ブラジル、フランス、スペイン、ドイツ、香港、タイというラテン系を中心とした6ヵ国・地域が100%でトップ。これに、96%の英国、75%のイタリアが続き、ワースト2位の豪州が70%。日本は50%で、断トツの最下位となりました。
日本は有休取得率で断トツの最下位に
有休取得日数でも、日本は米国、タイと並んで10日とワースト。かねてから指摘されてきた有休を取得しにくい現状が浮き彫りとなった格好です。
日本はこれで、有休取得率では2016年から3年連続の最下位。2014~2015年がワースト2位で、その前も6年連続で最下位でした。ここ数年で働き方改革や労働生産性の改善などが盛んに叫ばれるようになりましたが、今回の調査ではそれ以前に比べて状況に大きな改善は見られないようです。
6割の日本人が有休取得に罪悪感
その背景として、エクスペディアは3つの理由を挙げます。
1つは「人手不足」。日本人は責任感の強い人が多いので、人手不足の影響から、自分がいないと仕事が回らないと思い、休まない人が多い、というわけです。
2つ目が「緊急時のために取っておく」。日本では、風邪をひいて会社を休む時にも有休を使わないといけない企業が多いため、もしもの時に備えて有休を取らないでおいたら、結局使わなかったというケースが多いようです。
3つ目は「仕事する気がないと思われたくない」。周りの社会を気にしやすい日本人独特の考え方だと、エクスペディアでは分析しています。
こうした背景があってか、「有休取得に罪悪感のある人」の割合は日本が58%と調査対象国の中でトップ。有休取得率が100%だったスペインやブラジル、フランスはいずれも20%台だったので、罪悪感が取得率に大きく影響したもようです。
一方、縦軸に「休み不足を感じている人の割合」、横軸に「有給取得日数」を置いた図表に各国の状況をプロットすると、日本は有休が取れていないのに、休みが不足しているとは感じていない様子がうかがえます。逆に、フランスは有休を30日取れているけれど、それでも休みが不足していると感じている人が多いようです。
日本の特殊な状況に、エクスペディア・ジャパンの石井恵三代表も若干引き気味?
有休を取得することに罪悪感を感じやすい日本人は、有休の取得方法も上手とはいえなさそう。「長期休暇を取得する人」の割合では、ブラジルが58%でトップ。51%のメキシコ、50%のスペインと、こちらもラテン系の国々が上位に並びます。一方、日本は20%でこれまた最下位。連休を取るにしても、土日にくっつけて休む程度にとどまる人が多いようです。