はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はマネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFPがお答えします。
結婚してから25年ほど別財布でやってきました。子供たちの教育費は学資保険で用意ができているのですが、老後にかかるお金について、どれくらい用意をしたらいいのか、まずは何をしたらいいのか検討がつかず、不安しかありません。今後、老後に向けて主人と資産を共有することも必要だと思っておりますが、まずは月々の赤字を直すために、どこから手を付けたらいいのかアドバイスいただけますか?
〈相談者プロフィール〉
・女性、53歳、既婚(夫:51歳・会社員)、子供2人(19歳・大学生、18歳・高校生)
・職業:会社員
・手取り世帯月収:44万円
(夫:28万円、妻:16万円)
・手取り年間ボーナス:58万円
(夫:40万円、妻:18万円)
・預貯金:50万円(妻の普通預金口座)
・確定拠出年金:78万円(妻名義)
・その他(学資保険):600万円
【支出の内訳(45.6万円)】
・住居費:8.1万円
(持ち家、住宅ローン残22年)
・保険:6.7万円
(夫婦:5年更新型がん保険、子供:お祝い金付き医療保険など)
・教養・教育:4.9万円(新聞、雑誌)
・通信費:4.4万円(携帯4台、自宅Wi-Fi)
・食費:6.1万円
・水道光熱費:2.3万円
・日用品:1.7万円
・趣味・娯楽費:0.8万円(ホットヨガ)
・衣服・美容:2.1万円
(妻の化粧品、洋服など)
・健康・医療:0.5万円
・交通費:1万円
・交際費:1万円(妻の分のみ)
・小遣い:1万円(次男、3月まで)
・使途不明金:5万円
FP: ご相談ありがとうございます。miraitalkファイナンシャルプランナーの宮城です。さっそくですが、現状ご用意されている教育資金も、次男さんの時には不足する可能性があるかもしれません。ご主人がいくらの貯蓄を持っているかにより、状況は変わると思いますが、相談者さんたちに今後必要な老後資金や、老後資金をつくる家計のやりくりについて考えてみましょう。
いくら必要?老後資金の算出方法
老後資金は、「一般的には3000万円必要」だとか、「1億円ないといけない」とか、色々な考え方があります。とはいえ、本当に必要な額とは、その人の暮らし方と、もらえる年金額によって異なりますし、退職金が出る職場であれば、その金額も影響するでしょう。どのような暮らし方をしていきたいのかも考え、情報収集をして検討をしていかないと、具体的な必要金額は出しにくいものです。
現在の厚生年金の受給額の月平均は、男性16.5万円、女性10.3万円といわれています。これは所得などによって異なるのですが、もし、相談者さんご夫婦も標準的な働き方をされていて、平均的な年金を受給できると仮定すると、毎月26.8万円の収入が見込めます。現在の生活費が45.6万円ですから、お子さんが独立され、今の生活費の7割程度で暮らせるようになったとしても、毎月5~6万円は補填が必要です。そうなると、65歳から95歳までの30年間の必要生活費を考えると、2160万円が必要です。介護医療費を見込むと、さらに1000万円を予定しておく方がよいでしょう。すると、相談者さんご夫婦は3160万円の老後資金が必要だといえます。
次にこの金額のうち、いくらを退職金で、いくらを貯蓄で準備することができるのか、ということを順に整理していくことで用意する金額が見えてくるでしょう。