はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は高山一恵氏がお答えします。
私は7月までフルタイムで働き、平均月18万円程度の収入がありました。現在は退職し、収入がありません。働いているときから夫の収入で暮らせるようにと、自分のお小遣い以外の収入は貯蓄や投資にまわしていました(貯蓄:10万円、iDeCo:2.3万円、つみたてNISA:3.3万円、計約16万円)。iDeCoとつみたてNISAは、現在も貯蓄から継続して積み立てています。
相談したいことは、今後の働き方についてです。フルタイムで働くことに少し疲れてしまったことと、子供たちのフォローに手をかけたくなり、来年の4月からできればパートで働こうかと思っています。私自身の老後のためにもiDeCoとNISAの積み立ては続けて、プラス小遣い程度の収入があれば、扶養内での働き方でもいいのかなと思っているのですが、これから子供にお金がかかるし、厚生年金を積み上げるためにもがんばってフルタイムを探したほうがいいのか悩んでいます。パートで働く場合とフルタイムで働く場合とでは、老後資金にどれほどの差があるのでしょうか。また、パートで働くにあたって、来年の子供の塾の費用(中3と高3になるので、それぞれ年100万円程度)などは貯蓄からまかなうことになると思いますが、そうすると大学費用が不足しないかについても気になっております。
〈相談者プロフィール〉
・女性、42歳、既婚(夫:会社員)、子供2人(高2、中2)
・職業:専業主婦
・居住形態:持ち家(マンション)
・手取りの世帯月収:35万円
・手取り年間ボーナス:100万円
・毎月の支出目安:35万円ほど
・貯金:1,800万円
(夫400万円、妻1,400万円)
・投資:120万円
・企業型確定拠出年金(夫):500万円
・負債(住宅ローン):1,400万円
【支出の内訳】
・住居費:7.3万円(住宅ローン含む)
・食費:6.5万円
・水道光熱費:2万円
・車両費:1.5万円
・通信費:2万円
・教育費:2万円
・日用品:1万円
・衣服費:1万円
・保険:3.7万円
・小遣い:夫5万円、妻1万円
・その他:2万円
※ボーナスのうち70万円は旅行、両親へのプレゼント、冠婚葬祭、家電買い換えなどに使用。残りは夫の口座に貯蓄。
高山: ご質問ありがとうございます! お子さんがいる場合、働き方については悩むところですよね。今後のお子さんの教育費や老後の年金なども心配なお気持ちよくわかります。今回は、ざっくりとですが、パートタイム勤務とフルタイム勤務で将来受け取る年金額について試算していますので、参考にしてみてください。
大学費用は1人につき300万円程度準備を
フルタイム勤務をしていた時代からご自身の収入を貯蓄にまわしていたとのこと。貯蓄を順調にされていて素晴らしいですね。
さて、今後の大きな出費として気になるのは、お子さん2人の教育費ですね。塾代は、貯蓄から捻出するとのことですが、この場合の塾代は、高校受験、大学受験の前の1年間の費用についてですね。上のお子さんの大学受験のための塾代が年間100万円、下のお子さんについては、高校受験のための塾代100万円に加えて、大学受験のための塾代、年間100万円を考える必要がありますね。
お子さん2人とも大学に進学すると仮定した場合の学費ですが、例えば、私立大学の文系に4年間通うことになった場合の学費は、初年度納入金が約115万円、その後は、年間約92万円かかり、トータルで391万円となっています(文部科学省「2016年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果」より)。理系に進んだり、進学する大学によっては、この金額以上にかかったりするケースもありますが、平均の金額として参考にしてみてください。
一般的に教育費をやりくりする場合、子供が高校を卒業するまでは、学費は家計からやりくりし、大学入学費用として子供が18歳になるまでに最低300万円程度は貯蓄で準備するというのが、基本的な考え方です。現在の相談者さんの貯蓄額からすると、上のお子さんの塾代(100万円)、大学準備資金(300万円)、下のお子さんの塾代(200万円)、大学準備資金(300万円)ともに貯蓄から賄えます。ただし、住宅ローンの負債があったり、ご夫婦の老後資金を準備したりすることなどを考えると、今後、ご相談者さんが収入を得て貯蓄に励んだ方がよいですね。