はじめに
以前の筆者記事で「ウォーレン・バフェット流の投資術」についてご紹介しました。それは簡単に言うと将来に渡って利益が伸び続けるであろう企業の株式を今のうちに買っておく、というものです。
前提には「企業の業績と株価は長期的に一致する」という考え方があり、株価が上昇する銘柄を探すためには業績が伸びる銘柄を分析して見つけ出す必要があるということです。
これは投資をする上で非常に重要な考え方ですし、ぜひ皆様にも覚えておいていただきたいと思います。ただし、企業の分析には一定の知識やスキルが必要ですので、ある程度時間を割いて真剣に分析しなければ思うような成果は得られないでしょう。
さらに実はバフェット自身は、自分のやり方は誰にでもまねできるものではないし、自分の保有している銘柄をまねして買うこともやめたほうが良いと言っています。それでは彼は個人投資家に対してどのような投資法を薦めているのでしょうか?
ウォーレン・バフェットが個人投資家に薦める投資法
2013年にバフェットが経営するバークシャー・ハサウェイの株主に宛てて記した「株主への手紙」の一節を見てみましょう。
「もちろん多くの投資家は、企業の収益予測を優先して生活してきたわけではない。そういう投資家は企業の将来の収益の予想の仕方がわからないと考えるだろうね。そんなプロの投資家ではない皆さんに良い知らせをしたい。(中略)米国のビジネスは過去に素晴らしいパフォーマンスを達成してきたし、今後もそれは続くだろう。(中略)S&P500に連動する低コストのインデックス・ファンドこそ多くの投資家にとって最適だと思うよ。」
(出所:2013年株主への手紙の一節を筆者が和訳)
いかがでしょうか。上記の通りバフェットははっきりと個人投資家に向けて「S&P500に連動する低コストのインデックス・ファンドを買うのが良い」と述べています。S&P500とは米国を代表する500社によって構成された株価指数です。時価総額の大きいほとんどの米国上場企業が組み込まれているとお考えいただいて間違いはありません。
バフェット流投資術とは将来成長するであろう企業の株を今のうちに買っておくということなのですが、大きな目線で見れば米国という国そのものが成長を続けるだろうと予想できることから、米国経済全体の成長を享受できるS&P500に連動するインデックス・ファンドを買うのが良いと言っているわけです。
米国の経済成長が続くと考える理由
確かに米国はリーマン・ショックという「100年に1度の金融危機」とまで呼ばれた大不況からわずか数年で復活し、株価は史上最高値を大きく更新しました。アップル、アマゾン、フェイスブック、グーグルなど我々の生活を劇的に変えたイノベーションの多くは米国企業から生まれています。
IMF(国際通貨基金)による経済予測でも米国は今後も堅調に成長していく見通しとなっています。一方、残念ながら日本はほとんど成長できないと予想されています(下図)。
もちろん貿易戦争問題など予断を許さない問題もありますし、今後も紆余曲折はあるでしょう。それでも米国は長期的に成長を続けていく可能性が高いのではと筆者は考えています。
もし本当にそうなら、米国の株価も長期的な上昇が期待できます。現在は非常にコストの低いインデックス・ファンドがたくさんありますし、個人投資家にとって良い環境が整っています。ぜひそういったファンドを活用し、ご自身のポートフォリオに米国株を追加されてはいかがでしょうか。
<文:マーケット・アナリスト 益嶋裕 写真:ロイター/アフロ>