はじめに
前回の記事では株式投資の基本について学びました。その中で、株式投資の原則は「安い時に買い、高い時に売る」と説明しました。これだけですと、非常に簡単に思えますが、株式投資で大富豪になった人が街中に溢れていないのを考えれば、いかに難しいかがわかるでしょう。
そこで、今回はそもそも株価がどうやって決まるのかを解説します。難しい説明や、数式は使わずに、本質的な部分で理解ができるよう、いくつかのケースに分けて書いていきます。
価格は需要と供給できまる
株価とは株式の価格を意味しますが、まずは株価に限らず、「価格」はどのようにして決まるか学びましょう。価格というと違和感がある人は「値段」と考えても問題ありません。
大学で経済学を学んだ人からすると懐かしいかもしれませんが、価格は需要と供給が均衡する所で決まっていきます。まず、需要サイドから見てみると、値段が安ければ安いほど欲しい人が増え、値段が高くなればなるほど欲しい人は減っていきます。つまり、縦軸に価格、横軸に数量を取ると、需要というものは左斜めに傾いた直線で表すことができます。
一方で、供給サイドから見ると、高く売れるのであればどんどん生産(供給)したくなりますが、売れる値段が安くなればなるほど、生産(供給)する魅力がなくなっていきます。こちらも同じく縦軸に価格、横軸に数量を取ると、供給は右斜めに傾いた直線で表すことができます。
この需要の線と供給の線が交じり合う部分で価格(値段)が決まることになります。上記のことを図にしたものが下図です。
それでは、この考え方を株式市場に当てはめてみましょう。株式市場でA社という企業の株式を現在の株価で買いたい人と、売りたい人のバランスがマッチする点で、A社の株価は決まるのです。
理論株価を意識する
株価が決まる仕組みは理解できたと思います。それでは、投資家は何をもって、現在の株価なら買いたい、または売りたいと思うのでしょうか。実は、投資判断をする際の判断材料は十人十色のため、明確にこれと断言できないのですが、その1つに理論株価というものが挙げられます。
少し難しい言葉なので、簡単な例を挙げましょう。たとえば、自動販売機で売っている缶ジュース。現在は120~150円ぐらいで買えますが、これが50円となれば安いので買いたいと思う人も多くなりますが、1,000円ですと言われれば誰も買わないでしょう。これと同じ様に、株価も何かを基準として割安だから買いたい、割高だから売りたいと判断をしていくのですが、その何かが理論株価になります。
それでは、理論株価はどのように算出されるのでしょうか。理論株価の算出方法について詳細を書くと難しいうえに長くなってしまうため、ここではシンプルにまとめてみます。
まずは、その企業が持つ資産の価値がどれくらいか。資産というのは現金・預金、不動産などです。そして、次にその企業の利益がどれぐらいか。最後に、その企業がどれぐらい成長していくのか。これら3つの要素を基に算出していくのです。
その結果、算出された理論株価に対して、現在の株価が低ければ割安なので、いまのうちに買っておこうという判断になり、その逆であれば割高なので売ってしまおうという判断になります。