はじめに

ライフイベントを考慮して見えないお金を可視化する

かなりざっくりしたシミュレーションではございますが、この試算を前提として、さらにライフイベントを考慮してみたいと思います。

もう一人お子様が生まれ、それに伴って、奥様が3年間休職されるのであれば、現在見えていない未発生の支出および収入の減少としては、お子様お二人分の教育費、そして奥様が休職中の収入になるかと思います。

まず教育費ですが、小学校から大学まですべて公立の場合で1000万円程度、すべて私立の場合は2400万円程度(大学は理系と仮定)と言われています(注)。ここでは、ざっくりお一人あたり、2000万円と仮定してみます。さらに、奥様の休職により失われる収入ですが、かなり保守的に考え、休職中は収入がゼロになったと仮定すると、現在の年収460万円(30万円×12+100万円)を3年分、1380万円の収入が得られなくなるということになります。

つまり、追加で発生すると思われる教育費と、休職によって得られなくなる収入の合計で、5380万円程度の負担が発生すると見込むことができます。

ご相談者様が65歳の時点で、純資産が1億5020万円程度になることを確認いたしましたが、教育費や休職の影響を考慮したとしても、もともとの収入の前提を実現できるのであれば、家計的には十分やっていけるのではないかと思います。

保険で備える必要性はそれほど高くない?

これまでに確認させていただきましたとおり、現在の支出を継続しても特に問題ないと思われますが、少しでも無駄な出費はおさえたい、ということでしたら、保険の見直しとしては、以下のようにご提案させていただきます。

・医療保険:1.5万円の解約
・生命保険のうち、貯蓄型(夫)3万円の解約

医療保険は、入院時に給付金が支払われるものだと思いますが、650万円の貯蓄に加えて、金融資産もお持ちなので、高額療養費制度があることを考慮すれば、入院保障は必要ないでしょう。また、貯蓄型の生命保険に入られているとのことですが、今後の資産の推移を確認すると、保険商品で備える必要性はそれほど高くないと思われますので、強いて言えば生命保険料控除の範囲内くらいの金額におさえておかれるのがよいかと思います。

また、奥様の生命保険2.7万円についても、保障内容を確認の上、見直される余地は大きいのではないかと思います。

なお、見直される際には、あらためてお勤め先の福利厚生で死亡弔慰金や育英年金、健康保険の付加給付などがないか確認しておくとよいでしょう。

将来に向けた投資、まず何から手をつける?

将来に向けた投資ということで、おすすめしたいのは、まず個人型確定拠出年金(iDeCo)です。現在、お勤め先で確定拠出年金が導入されていないようですので、個人型確定拠出年金を利用することで、拠出金額が全額所得控除になります。また、同様に税制優遇措置のある、つみたてNISAも併せて利用されるのがよいでしょう。

いずれの制度でも、投資対象としておすすめなのは、世界の幅広い株式に分散して投資できるインデックスファンドです。全世界株式インデックスファンド、もしくは先進国株式インデックスファンドなどと呼ばれる商品を中心に、積立時期の分散を図りながら、積立投資をされていくと、目先の所得税・住民税の節税や、投資から得られるリターンが非課税になるので、まずはこういった制度を利用して始めていくのがよいでしょう。

ポイントをまとめると…

以上、ポイントをまとめますと以下のようになります。

1 現在の収入、支出を前提にライフプランシミュレーションをしてみますと、20年後も安泰なご家庭になると予測されます。
2 保険を見直されるなら、医療保険や貯蓄型の保険をまず解約しましょう。
3 投資を増やしていくなら、つみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)といった税制優遇のある制度を優先的に利用し、世界の幅広い株式に投資できるインデックスファンドを活用していきましょう。

注:文部科学省:平成28年度子供の学習費調査、日本政策金融公庫:平成29年度 教育費負担の実態調査結果

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