読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は黒田尚子氏がお答えします。

住宅購入を希望しています。夫は、都内の価値の下がらない物件を5,000万円前後で購入したいと言いますが、私は3,000万円の物件でも、家計はギリギリになると思っています。現在の家賃9万円でも、ほぼ貯金ができていない状況です。どのくらいの額の住宅でしたら購入できるのでしょうか。また、長女の教育費は学資保険の積み立てと児童手当を貯金することで用意していますが、次男は児童手当を貯金しているのみです。次男の教育費はどのように貯めていけばよいでしょうか。この先、老後資金も不安です。アドバイスよろしくお願いします。


〈相談者プロフィール〉
・女性、39歳、既婚(夫:37歳)、子ども2人(3歳、0歳)、3人目妊娠中
・職業:パート
・居住形態:賃貸
・居住地:東京都
・手取りの世帯年収:500万円
・毎月の支出目安:35万円
・貯金:300万円
・投資:なし


黒田: 住宅を購入するためには、まず最低でも、物件価格+諸費用(新築住宅の場合:物件価格の3~5%、中古住宅の場合:仲介手数料が必要なため、5~10%)が必要です。

とはいえ、マイホームは数千万円単位の大きな買い物。多くの人が住宅ローンを利用して購入し、中長期にわたって少しずつ返済していくことになります。ですから、ムリのない住宅ローンを組むことが肝心です。そのために、少なくとも物件価格の2割の頭金を用意することをお勧めしています。

具体的には、ご相談者の夫が希望する5,000万円の物件を購入する場合、頭金が1,000万円、諸費用が約150~500万円で、合計1,150~1,500万円を現金で準備しなければなりません。現時点でのご相談者の貯蓄額が300万円ということであれば、数年以内に購入を検討されておられる場合、かなりハードルは高そうです。

また、同じように試算すると、3,000万円の物件の場合、頭金が600万円、諸費用が90~300万円で、合計690~900万円となります。こちらの方がより現実的な購入目標額と言えるでしょうか。

頭金0円のフルローンの方がオトク?

実際、マンション購入者のデータ(※)によると、マンションの購入価格の平均が4,348.4万円(全国平均)に対して、頭金にあたる手持金は705.6万円。物件購入価格に対して16.2%を占めています。

そして物件価格が高止まりしている首都圏の場合、購入価格が4,787万円、手持金も771.6万円とアップします。データでは、理想の2割には届いていませんが、前年度については、物件の購入価格に対して17.4%の手持金を用意していたことから、物件価格の上昇も影響しているのではと考えられます。

とは言っても、住宅展示場や新聞の折り込み広告では「頭金0円でOK」などといった謳い文句の物件チラシをよくみかけますよね? それに、今は(というかここしばらく)、低金利が続いており、「家賃を払いながら、頭金が貯まるのを待っていては逆にソン!」「住宅ローン控除などの税制優遇も受けられるし、頭金0円のフルローンで借りて、繰上げ返済した方がオトク!!」といった頭金ナシ派の主張も理解できないことはありません。

もちろん、金利や税制、家計の状況など、さまざまな観点からシミュレーションしてみることが大切ですし、それも踏まえて、ご相談者のご家庭でよく話し合って最終的な判断を下すことにはなるのですが、やはり、筆者としては、頭金を準備してからの方が安心だと感じています。というのも、ムリな住宅ローンを組んだ方の末路(!)や、住宅ローンの融資担当者などから、「頭金2割以下で借りた方は、デフォルト(債務不履行)になる傾向が強いんです」という話を聞いており、現実の厳しさを痛感しているからです。

※出所:住宅金融支援機構「2017年度 フラット35利用者調査