はじめに

昨年から今年にかけて多くのアパレルメーカーが新規参入した、ビジネスウェアのサブスクリプション(月額課金)ビジネス。自分で購入するのに比べてスーツなどの導入コストを大幅に引き下げられる点を訴求材料に、各社がしのぎを削っています。

しかし一方で、昨年4月に参入したAOKIホールディングスが同年11月には早くも撤退するなど、事業環境は必ずしも順風とはいえなさそうです。そうした状況下、昨年7月にサブスクサービス「着ルダケ」をローンチしたレナウンが、新たな動きを進めています。

メンズウェアの老舗が打った新たな一手は、消費者に対してどんな恩恵があるのでしょうか。その勝算とともに、深掘りしてみます。


月額4800円でスラックス5本

2月8日から申し込みの受付を開始する着ルダケの春夏シーズン。このタイミングに合わせて、新たに2つの展開を始めます。

1つは「クールビズプラン」。月額4,800円(税別)のベーシックなプランの場合、春夏シーズンはスラックスが5本、秋冬シーズンはスーツ2着が利用できるというものです。オプションで追加料金を払えば、シャツ5枚やネクタイ3本(シーズンごと)を付けることもできます。

昨年7月にローンチした既存のベーシックプランでは、春夏・秋冬の各シーズンでスーツ2着ずつ、計4着を利用できました。これは販売価格だと1着5万~6万円のスーツと同等の品質のもの。2年間で4着を利用できるので、購入した場合は24万円相当になります。これが月額4,800円のプランを2年間利用すると、利用料は12万円弱。売値の半額程度に抑えられています。


「着ルダケ」サービスの利用の流れ

今回のクールビズプランで提供するスラックスは自宅でも洗濯可能。ウール100%を中心としており、スーツと同等の品質だといいます。つまり、既存プランと同様、購入した場合の半額程度の料金で、一定以上の品質のスラックスを着用できるわけです。メーカーから直接顧客に納品するD2Cモデルを採用することで、低料金を実現しました。

クールビズプランは「夏場にスーツを着る頻度が少ないので、それに合わせたプランが欲しい」という利用客の声に応えたもの。当初はスラックスの本数を減らして月額料金を値下げすることも考えたそうですが、採算性や平日5日間を着回せる点などを考慮し、既存プランから価格を据え置いたといいます。

チャットで夜間も問い合わせ可能に

今回新たに導入するもう1つのサービスが「チャット接客サービス」です。こちらは「もっと手軽に相談や問い合わせをしたい」という声に対応したものだそうです。

これまでは、利用客や検討客からの問い合わせに対して、日中時間帯に電話かメールのみで応対していました。しかし、日中はなかなか電話をする時間が取れないし、メールもすぐに返信が来ないので不便、という声が出ていました。


当面は夜間だけだが、チャット上で客からの問い合わせに対応

そこで今回、チャット上でサービス内容や商品・サイズに関する質問、コーディネートや手入れの方法などについて相談できる仕組みを整えました。2月8日から、毎日19~23時に対応するといいます。

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