はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回は、必死に働き、お金を貯めてきたという共働き主婦からの相談です。今まで子供との時間がほとんど持てなかったため、月収10万のパートに切り替えて子供に寄り添いたいといいますが、住宅ローンも始まったばかりで、教育費もこれからというとき。この選択が正しいのか、相談者の不安にFPの鈴木さや子氏がお答えします。
現在、月々13万円ほどの貯蓄ができており、1300万円を貯めたところでマイホームを購入しましたが、手元の現金は多めに残しました。現金の貯蓄の他に、ドル建ての貯蓄型の保険に加入しています(65歳で解約返戻金約6万ドル)。夫は公務員なので、健康で勤めていれば昇給があり、賞与、退職金は今の制度であればもらえると思っています。子供が保育園の間、夫婦で必死に働き、貯蓄をしてきましたが、子供との時間が本当に持てませんでした。小学校に入学したら、子供が家に帰ってきたときに迎えてあげられる環境にしたいと考えており、再来年から月収10万円程度のパートへ切り替えたいと考えています。家のローンが始まったばかり、子供の教育費もこれからというときに、この選択が正しいのかどうか、アドバイスいただけないでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・女性、37歳、既婚(夫:38歳、公務員)
・子供:5歳、2歳(ともに保育園)
・職業:会社員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:53万円
・毎月の支出目安:40万円
・貯金:880万円
・投資:300万円
・負債(住宅ローン):4200万円
鈴木: こんにちは。ファイナンシャルプランナーの鈴木です。月々13万円の貯蓄ができているとのこと、がんばっていらっしゃいますね! 小さなお子様がいらっしゃり毎日お忙しい中、しっかりと将来のことを考えていることがとても伝わってきました。
結論から申しますと、金額を減らして計画的に貯蓄を続けられれば、パートへ切り替えられても大丈夫です。できれば下のお子様が中学生にあがる12年後以降は、ご相談者様の収入を増やすことができれば、より家計が楽になるでしょう。不安をなくすためには、今後かかるお金がどのくらいなのかを知り、貯金の仕組みを整えることが大切。資金別にアドバイスします。
教育費は2つに分けて準備する
教育費は、高校卒業までは世帯収入からねん出できる進路選びが原則です。とはいえ、子供が行きたい高校が私立など想定外の出費があるのが教育費というもの。そこで、目標を「大学入学費用+α」と「高校時代の想定外支出」に分けてお金を準備しておくと安心です。
【貯めておきたい教育費】
1.大学入学費用+α: 1人あたり18歳時に300万円
2.高校時代の想定外支出(私立進学や短期留学、浪人など): 1人あたり15歳時に200万円
【どうやって貯める?】
1.大学入学費用+α: お子様それぞれに教育費専用口座を作り、定期積立預金や、給料口座から教育費専用口座に資金を自動で移動できる「定額自動入金」の仕組みなどを活用して「自動的にお金を積立る仕組み」を作りましょう。上のお子様は毎月2万円、下のお子様は毎月1.6万円貯めるとそれぞれ18歳時に約300万円となります。
2.高校時代の想定外支出: 国から振り込まれる児童手当を活用しましょう。上のお子様は残り10年で約120万円、下のお子様は残り13年で約162万円となります。教育費専用口座に児童手当が振り込まれるように設定しておくと、貯蓄を自動化できますよ(ネット銀行によっては振込指定ができない場合もあるのでご注意ください)。不足する分は、現在の貯金から教育費として2人分約120万円をプールしておきましょう。