はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回は、赤字を抱えた不動産を所有し、返済に追われる25歳男性からの相談です。将来のために投資信託を購入したいといいますが、貯金は20万。このまま投資をはじめてよいのでしょうか。FPの洲崎メイ氏がお答えします。
将来の余裕資金を増やす目的で投資信託の購入資金が欲しいのですが、借金の返済や赤字を出している不動産を持っているため、なかなか固定が下げられません。借金の返済を優先すべきなのか、もしくは、返済と同時進行で投資を行うべきなのか、アドバイスをいただければ幸いです。
〈相談者プロフィール〉
・男性、25歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:実家暮らし
・手取りの世帯月収:23万円
・毎月の支出目安:21万円
・貯金:20万円
・負債(ローンなど):2000万円
洲崎: ご相談ありがとうございます。資産運用のための資金を捻出していきたいとお考えなのですね。ご相談者さまの場合、投資に取り組むための基礎ができていないようにお見受けします。まず、資産運用に向けたお金の使い方の基本からご説明しましょう。
資産運用する前に抑えておきたい「お金の基本」
「資産運用でお金を増やしたい!」というのは多くの方が思っていらっしゃることですが、どんなことにも基礎があるように、投資のためのお金の使い方にも3つの基本があります。
1.1万円でもOK!毎月安定して貯金ができる
お金が増えるなら、すぐに投資をはじめようと思ってしまいがちですが、最初のステップは「現金で毎月安定して貯金ができるようになる」です。
お金を貯める力がないのに投資をはじめてしまうと、生活費が足りなくなって投資を続けられなくなったり、場合によっては損が出ているタイミングで投資商品を手放す必要がでてきてしまいます。まずは毎月安定した貯蓄(1万円でもOKです)ができるようになることを目指しましょう。
2.万が一のため貯金ができている
貯金は、「万が一のときの貯金」「将来使うための貯金」の2種類に分けて考えます。資産運用を始める前には「万が一のときの貯金」が十分に用意できている必要があります。
万が一のときの貯金額の目安ですが、相談者さまのように独身の会社員の方でしたら毎月の生活費の3ヵ月分以上、ご家族がいる方については毎月の生活費の6ヵ月分以上が目安になります(自営業やフリーランスの方は6ヵ月分〜12ヵ月分と多めが理想です)。
ご相談者さまの場合、不動産投資での赤字の補填などがあるのかもしれませんが、現状の貯蓄20万円は少ない状況だと思います。
3.投資の目的を決める
貯金のステップが完了し、すぐに使う予定のないお金ができてきたら、そのお金は資産運用に使えるお金ということになります。ですが、とにかく買ってみればいいというわけではありません。最初に「運用の目的と、いつまでにどれくらい増やしたいか」「そのためのリスクは取れるのか」を考えてみましょう。
ご相談者さまの場合は「将来の余裕資金」とのことですが、これは数年先の不労所得をイメージしたのでしょうか?それとも老後のイメージでしょうか?この目的によって、選ぶべき商品は異なってきます。
また、投資をされる方の知識レベルとリスク許容度によっても異なります。紙幅の都合上、非常にざっくりになってしまいますが、下記のような感じです。
比較的初心者向け (基礎知識からスタートでき、ローリスク):投資信託、国債など
比較的上級者向け (ある程度知識が必要、ミドル~ハイリスク):株式投資、FX、不動産など
まず資産運用をはじめてみたい方、老後資金など先のお金を作ることが目的の方であれば、つみたてNISAを利用して投資信託を購入するところからスタートするのをおすすめしています。