目的をしっかりと決める

さて、日本人の平均的なデータと、ストック・フローの概念は理解できましたでしょうか。次に、今回のテーマである、どれくらいの比率を資産運用にまわすべきかを考えていきましょう。

身も蓋もないですが、何割を資産運用にまわすべきの問いに正解は1つではないと考えています。その割合を決めるのに必要なのは各人の資産運用の目的にあります。

たとえば、来年の夏、海外旅行に行くために数十万円かかる費用の一部の足しにできればいいのか。それとも3年後に購入予定のマイカー資金の一部にしたいのか。子供の教育資金、マイホーム資金、老後資金など、目的によって、資産運用で得たい金額や、資産運用する期間もバラバラになるはずです。

ただし、フローから資産運用にまわす額は自動的に決まりやすいですね。手取りがいくらで、固定費と変動費、そして不測の事態に備えた現金を差し引いて残った額を積立投資などにまわせばいいわけです。

難しいのはストックの何割を資産運用にまわすか。前述の通り平均は15%程度でした。フローの概念と同じく、不測の事態に備えて、現金や預金は多く持っておいた方がいいでしょう。筆者は全体の何割ではなく、例えば仮に1年間収入がなくなっても生きていけるだけの金額は手を付けずに置いておき、残った部分を資産運用にまわすといった基準をつくるのがいいと考えます。

また、前述の家計調査では、資産のうち、生命保険などの保険類が20.8%、株式など有価証券が14.6%を占めているデータがありましたが、保険にここまで資産を振り分ける必要があるのかどうかも再考すべきでしょう。筆者はそれほど手厚い保険はかけていません。

スタイルは十人十色でいい

資産の何割を運用にまわすかなども含めて、資産運用のスタイルは議論すると、なかなか話が合わず、場合によってはネット上でもリアルでも言い合いになることが多々あります。

色々な経験や学習を経て自分なりのスタイルが確立されていくことは素晴らしいですが、資産運用のスタイルは十人十色。大事なのはどれだけ考え抜いてそのスタイルにたどり着いたのかだと思います。

まず、自分の資産運用の目的、必要な額と資産運用の期間、フローにおける投資可能資金の額、ストックのうち何割を資産運用にまわせるか。このような各情報を自分で紙に書き出して明確にすると、やりたいことが見えてきます。その上でこれまで学んできた知識を活用して資産運用を楽しんでいただければ幸いです。

連載「お金の育て方」
【1回目】なぜ資産運用をするのか?お金以外に得られるモノ
【2回目】投資における大事な5つのルール
【3回目】投資信託で踏み出す「投資」へのはじめの一歩
【4回目】未経験者が知るべき「株式投資の基本」
【5回目】株価はどうやって決まる?市場で常に株価が動き続ける理由
【6回目】分散投資はなぜ必要?世界に投資対象を持つことの重要性