はじめに
銀行が不動産目的の投資家にお金を貸し出した「不動産融資」の金額が過去最高になったそうです。日銀が発表した「貸出先別貸出金」によると、不動産向けの貸出残高合計は昨年末時点で約70兆3600億円と、統計がさかのぼれる過去40年で最高の金額になりました。
不動産融資の額が増えているということは、ほぼイコールで不動産を買う人が増えているということです。どうしてなのでしょうか? そして、この状況は1990年前後の「バブル」の再来なのか。簡単に状況をまとめてみました。
過去最高の不動産ブームに
銀行などの金融機関による不動産融資の残高が過去最高水準を超えました。日本の総貸出全体の15%を不動産融資が占めたことになります。この状況は足元だけをみるとさらに顕著で、2016年の一年間に金融機関が貸し出したお金の、実に25%が不動産投資への融資となっています。
これは過去のバブル期と比較しても非常に高い水準です。バブル崩壊を体験した私のような世代からすると、この話を聞くとこの先どうなるのか怖い気がするのですが、今回は大丈夫なのでしょうか?
そう思って話をうかがってみると、不動産業界関係者・金融機関関係者ともに「いくつか気をつけたほうがいい点はあるが、基本的には90年代のバブル崩壊のようなことには今のところならないのではないか」と言います。
具体的に当時と違うのはどこか。聞いてみると「今回の不動産投資ブームは実需に支えられている」と言うのです。
ブームを支えるREITの仕組み
確かに今、首都圏を中心に不動産価格が上昇しています。このブームを支えるのがREIT、つまり不動産投資信託の活況です。これはファンドがオフィスビルや居住用マンションに投資を行い、賃料を投資家に分配するタイプの投資信託です。東証に上場しているREITなら誰でも購入可能で、四半期に一度のペースで分配金が手に入ることから投資家の人気を集めています。
REITの関係者は家賃収入という実需に支えられたビジネスをしているので、バブルの頃のように将来の値上がり益を期待して、ただ不動産を買いあさった人たちとはしていることが違うわけです。
実際に私も、5年以上前から中古マンションに投資するREITを購入していますが、確かにここまでの利回りを見ると銀行に預金をしているよりも、はるかに多くの利回りで分配金を受け取ることができています。
私がこのREITを買った直接のきっかけは、近所のマンションをまるまる一棟このREITが買い上げたことでした。古びていたマンションの外壁をモダンなツートンカラーの外壁にリフォームを行い、玄関はオートロック、駐車場は電動ゲート付きに、そして室内も同様にデザイナーズマンション風にリフォームして貸し出したのです。