はじめに

不動産ブームはバブルではないのか?

副都心の新宿まで歩いて行ける距離で、築年数は古くてもおしゃれなマンションになったことで、賃貸市場では人気の物件になったよう。

その様子をみていて、「なるほど、このREITなら利回りがいいだろう」と思い、私も投資をしました。中古の不動産物件を安く購入し、リフォームを行うことで価値を高めて、高い家賃で貸し出すビジネスというわけです。

不動産向けの新規貸出が増えたのは、そのようなビジネスが増えたことだけが理由ではありません。相続税法が変わったことで節税目的のアパート建設が増えたり、東京オリンピック需要を見込んだ民泊目的でのマンション建設が行われたり、新しい需要も増えているそうです。

それでも、本当にバブルの心配はないのでしょうか?

バブルの頃と一番大きな違いは、このような不動産投資が首都圏に偏っていることです。バブルの頃は日本全国の土地の価格が上がり、その価格があまりに実体をともなっていなかったことからバブル崩壊が起きました。

しかし今のところ不動産投資の多くは首都圏、特に東京オリンピック需要の東京に集中しています。その文脈で、「不動産価格が上がってきているが、これは実需に伴った上昇だ」と解釈されているわけです。

実需はあるがリスクもある

実は今後、2035年ぐらいまでの長期にわたって、首都圏では世帯数が持続的に上昇することが予想されています。実際に人口動態をみると、現在も東京都の人口は増加傾向にあります。

流入する若者も、増加する高齢者も、一人暮らしが増えることになるので、世帯数という観点でいえば長期的にその数の増加が見込まれるわけです。言い換えれば、それだけ住宅が必要とされるのです。

とはいえ、バブルの予兆がまったくないわけではありません。気になる点を挙げると、まず怖いのは時価の上昇。ダイレクトメールで届く新築マンションの広告を見ると、「ほしいな」と思える高級物件が増えてはいるのですが、「買いたいな」と思える価格帯ではないことがほとんど。

むしろ今の快適な我が家を買ったときの倍近い価格の広告を見ると、「本当にこの不動産価格は適切なのだろうか?」と心配に思ってしまいます。

湾岸エリアを中心にタワーマンションブームが起きた背景には、今はなくなってしまった節税効果に加えて、中国の富裕層など利殖目的で爆買いをする一群の投資家の存在がありました。その勢いがなくなったら今の価格が維持できるのだろうか。少し不安が残ります。

またゼロ金利の未来も不安です。90年代のバブルが起きたのは、現在と同じように金融緩和が行われたからであり、バブル崩壊の引き金はそれが引き締めに転じたからでした。

現在に照らし合わせて考えると、ゼロ金利でじゃぶじゃぶとお金が供給されているうちはこのブームが続くでしょうけれど、金利が1から3%という昔の水準に戻った瞬間に、金利で立ち行かなくなる不動産会社が出てこないとも限りません。

最も心配なのは、2020年の東京オリンピックが行われたあとも、このブームが続くとは思えない点です。そう考えると、不動産投資ブームになんらかのかたちで乗りたい気持ちがある一方、いつでも降りられるようにしておく備えが同時に必要だと私は思うのですが、みなさんはどうでしょうか?

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