はじめに
ビジネスチャンス拡大のデベロッパー
“住みたい街”としての需要が高まるところには、必ずビジネスチャンスが生まれてきます。その恩恵を受ける代表例が、総合不動産会社やマンションデベロッパーです。
まずは、近畿圏で9年連続のマンション供給戸数ナンバーワンを誇るマンションデベロッパーのプレサンスコーポレーション(証券コード3254)に注目でしょう。
地域に根ざした情報力を生かして潜在力を秘めた土地を探し、駅近にこだわった物件開発で順調に業績を伸ばしています。不良在庫とは縁のない会社なので、最近、問題になっている地銀による投資用マンション向け融資の貸し渋りなどのリスクは低いとみられます。
神戸市のマンション分譲トップで、人気上昇中の阪神間でも強みを発揮する和田興産(8931)も面白そうです。さらに、西宮北口など沿線の人気が高い阪急阪神ホールディングス(9042)や、京都‐大阪間でマンション販売が好調な京阪ホールディングス(9045)なども押さえておきたいところです。
地域活性化に貢献する“魔法のレストラン”
そして、街の再開発を担う非常にユニークな企業として覚えておいてほしいのがバルニバービ(3418)です。全国に80余りのレストラン、カフェを展開する飲食業なのですが、その出店戦略は他に類を見ません。
大阪や東京で、交通の便は良いのだけど、休日になると人通りが少ない寂れた問屋街や倉庫街など、飲食店としては不向きだと思われる“バッドロケーション”への出店で成長を遂げました。好立地ではないので賃料が安く、その分、おいしい料理とシャレた店舗作りが可能になります。
個性的な店が雑誌や口コミ、さらにはSNSなどを通じて人気化すると、人通りが増え、それを目当てに他のショップが相次いで開業し、地域が活性化されるのです。「にぎやかな場所に出店する」のではなく、「出店することで地域を活性化する」という発想です。
大阪の南堀江や東京の蔵前など、殺風景な街が感度の高い若者に人気の街へと生まれ変わりました。その実力は、自治体などにも認められるようになり、今では地域活性化を目指す自治体向けのビジネスが多くなってきました。
バルニバービの出店で雰囲気が変わった天王寺公園
大阪市の中之島公園や天王寺公園は、かつてはホームレスが多く、市民が憩う公園としての機能が果たせていなかったのですが、今は老若男女が集う華やかな公園に生まれ変わっています。その背景として、この会社が出店を請け負ったカフェレストランの果たした役割が大きいといわれています。
不動産価格の上昇が続いているとはいっても、首都圏に比べると、まだまだ手頃な価格です。関西圏の住宅開発、地域開発には成長の余地が大きいのではないでしょうか。そこにはビジネスのチャンスも大きいと思われます。今回紹介した企業の中から、思わぬお宝銘柄が出てくるかもしれません。