はじめに
経済産業省と東京証券取引所は3月22日、2019年度の「なでしこ銘柄」を発表しました。2012年度に始まってから7回目となる今回は、42社が選ばれました。
このなでしこ銘柄について、経産省は「女性活躍推進に優れた企業」としています。一言でいえば、「女性が活躍しやすい企業」のことです。近年、女性の活躍は企業のイメージアップの面でも重要です。なでしこ銘柄に選ばれると、企業は自社のウェブサイトを通じて、広く一般の方への周知を目指したりします。
女性の活躍はアベノミクスが目指す成長戦略の中核になることから、投資家も株式市場のテーマの1つとして注目しています。経産省のウェブサイトには、なでしこ銘柄を決める目的は「投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進」することと書かれています。
こうした趣旨からも、なでしこ銘柄は株式投資と深い関係があります。今回は、なでしこ銘柄と株価の関係について考えてみます。
パフォーマンスは相場全体を上回る
まずは、なでしこ銘柄の株価の推移を見てみましょう。今回選ばれた42社の株価が、過去3年間でどのように動いてきたかを調べました。
2015年12月末時点で42社に投資した場合、株式収益率がどのように推移するかを見ました。具体的には、42社に同額ずつ合計100万円投資した場合、2019年2月末まででいくらになったかを調べています。
図1の青い線がその結果で、112ポイントとなりました。つまり、112万円に増えたことになります。
一方で、株式相場全体の動きはどうだったでしょうか。東証1部上場企業の平均的な収益率を示す東証株価指数(TOPIX、赤線)は100ポイントでした。なでしこ銘柄の株価は12ポイント分、相場全体よりも良かったことがわかります。