はじめに

海外に移住・転勤してもiDeCoを続けるための条件とは?

では、海外に移住・転勤が決まったらまったくiDeCoを継続できないのかというと、そうではありません。一定の条件を満たすことで継続可能な場合があります。それは、日本の会社で雇用関係があって、厚生年金保険に継続して加入することができる場合です。この場合、掛金の拠出、運用を行うことができます。

また、海外で生活すると現地の社会保障制度に加入するのが原則ですが、日本でも現地でも加入すると、社会保険料を二重に負担することになります。ですから、社会保障協定を結んでいる国とは、5年以内であれば一時派遣の扱いになり、現地の社会保障制度へ加入しなくてもよいことになっています。この場合、厚生年金に加入している間は資格があることになります。

もともと確定拠出年金の制度は、国民年金や厚生年金に上乗せする制度です。会社員が海外赴任になったからといって、すぐに被保険者の資格を失うものではありません。グローバルに活躍する人が継続できる方法があるのです。

ただし、国民年金だけに加入していて海外に移住する人や、完全に海外の現地法人に移籍して日本の会社から雇用関係がなくなる場合は、iDeCoの加入者の資格を喪失することになります。

iDeCoの資格を喪失してもすでに出した掛金は運用できる!

もし、加入資格の状況に変更があった場合には、運営管理機関(iDeCoを利用している金融機関)で手続きすることになります。国民年金だけの加入者で海外に移住したり、日本の厚生年金が続けらなかったりする場合、iDeCoの加入者の資格を喪失しますので、移住前に「加入者資格喪失届」を出します。資格喪失理由で添付書類が変わりますが、日本国内に住所を有しない場合では、住民票除籍の写し、出国予定先が記載されている住民票の写し、出国先の在留証明書が必要になります。

ただし、この場合iDeCoの加入者の資格は喪失しますが、新たな掛金の拠出を行わず、これまで拠出した掛金の運用だけを行うことはできます。掛金を拠出せずに運用のみを行う人を「運用指図者」といいます。加入者資格喪失届を出していれば、日本に帰ってきて生活を始めた場合に、所定の手続きをすることによって運用を再開できます。


日本に住んでいない非居住者になる場合、運用管理機関の金融機関によっては、取扱いが異なります。たとえば、口座の管理維持ができず解約しなければならない場合と事前に承認を受けた場合のみ口座が維持できる場合があるようです。また、利用に制限がかかる場合もあります。海外に赴任する予定がある場合、ご自身で利用している金融機関に前もって問い合わせ、必要な手続きをご確認ください。

池田 幸代 ブリエ 代表取締役
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

(この記事はMochaからの転載です)

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