はじめに

ハイテクを導入したスマートレストランも

2017年頃、無人コンビニが突然に話題になった事をご記憶の方もいらっしゃるでしょう。当時私も「もう人間はいらない? 中国で盛り上がる無人コンビニ」という記事を書かせていただきました。そのほかにも無人ジムや無人カラオケなど、「無人」をキーワードにしたサービスが雨後の筍のように生まれました。

無人レストラン
アリババ系の「口碑」と大手レストランが提携して杭州に開店した無人レストラン店内(写真:高口康太)

その一時期の無人ブームにあやかってということなのか、時を同じくしてアリババ系との提携による「無人レストラン」も現れました。

ただ、ウェイターがいなければ客は自分で料理を取りにいかなければならないなど良いことがありませんし、「無人」を名乗ったところで調理まで自動化されているわけではありません。店側もちょっと言い過ぎたと思ったのか、今では無人であることは言わずに、「ちょっと進んだレストラン」に落ち着いたとのこと。

そんな中、ひょっとするとハイテク導入の成功ケースになるのではないかと注目されるのが、大手火鍋チェーン「ハイディラオ」です。

行列客にネイルなどのサービスを無料で提供したり、席に荷物や上着を置いたらカバーを掛けたりと気の利いたサービスで注目を集め、国内だけで430もの店舗ネットワークを持つ同チェーン。実は日本のパナソニックと合弁会社を作って、店舗の自動化を進めています。

北京にオープンした自動化1号店は、食材の下準備や配膳などのバックヤード業務をロボットで行い、人の経験に頼らざるをえなかった部分を標準化。今後の店舗展開の加速に役立てたいとしています。

日本も参考にしたい省人化の取り組み

実は飲食業の人材確保は、日本の抱える課題でもあります。人口減少局面に入った日本では、労働力の効率的な配置・運用が不可欠。そのような状況では当然、「ロボットに任せる部分はロボットに」という選択肢も現実味を帯びてきます。そうした事情もあってか、4月に北京を訪れた河野太郎外務大臣も、このハイディラオを視察しました。

ハイディラオだけでなく、中国のレストラン業界ではテクノロジーによる「省人化」がどんどん進んでいます。若干地味ながら、そこで活躍しているのがQRコード。特に客単価が低い店を中心に、席に貼ってあるQRコードをスキャンしてメニューを閲覧し、そのまま注文、会計する形式がかなり普及しています。

最近はキャッシュレスで注目されることが多いQRコードも、もともとはウェブサイトへのリンクを表示するために使われていたことを考えれば、それらをつなげることで新しい価値を生むことは正統進化といえるでしょう。

これによって、ウェイターの仕事の多くの部分を占めていた「注文取り」「会計」がなくなり、配膳と客が困った時の応対だけに範囲が狭まりました。QRコードであれば店も設備導入の負担がありませんし、より少ない人数で店舗運営ができるため、この方式は急速に広まりました。日本でも今後、導入が進む可能性があるでしょう。

ちなみにこのハイディラオは2015年に日本にも進出し、東京、大阪、神戸などに店舗展開しています。ひょっとすると今後、世界に先駆けて日本で自動化設備を導入する可能性があるかもしれません。

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