はじめに

世界最高峰のレストランが集まる

少し悔しいですが、実は高級レストラン業界でも「ジャパン・パッシング」が静かに進行しています。

日本、特に東京はレストランのレベルが非常に高く所得水準も比較的高かったため、欧米の一流店がアジアに支店を出す際には、「まずTokyo」と言われた時代がありました。少し前でいえば、「ジョエル・ロブション」や「ピエール・ガニェール」などが典型的な例ですし、最近ではパリのシャルキュトリー、「ユーゴ・デノワイエ」なども出店し、その傾向はなくなったわけではありません。

しかし現在は、富裕層の多い上海や北京の名前が真っ先に挙がることも多いようで、世界的な名シェフによる店も増え始めています。

たとえば上海で一番高級とされるミシュラン3つ星のフレンチ「Ultra Violet」は、1日10席限定のおまかせコースのみで、客単価は1人当たり10万円程度といわれます。

超高級フレンチ
上海の超高級フランス料理Ultra Violet店内

一方、北京、上海のブルガリホテルズ&リゾート内に出店するイタリアン「Il Ristorante Niko Romito」を任されているのは、イタリア・アブルッツォ州で3つ星レストランを経営するニコ・ロミート。いずれも東京には店を持たず、中国で勝負しています。

高級和食店も相次ぎ進出

欧米の料理だけではありません。今、北京や上海であれば、東京と変わらないレベルの和食を食べることができます。

海外展開がかなり早かった老舗「なだ万」をはじめ、昨年は東京屈指の予約が取れない店である日本料理「くろぎ」が出店するなど、有名な高級和食店やその店出身の料理人の進出が相次いでいます。

また、深圳には日本のアート集団「チームラボ」がプロデュースしたレストランも開店し、安くはない値段ながらに大盛況です。日本とは異なった内容で勝負している店も多く、食べ比べるのも面白いかもしれません。

チームラボ
チームラボが演出を担当したレストラン「花舞印象」

今の中国では、伝統的な中華料理にとどまらず、他国では見ることができないほどの多様なレストランが覇を競っています。中国というと万里の長城などの歴史的な場所や深圳に代表されるテクノロジーに心が動きがちですが、実は今日紹介したように、「食」を切り口にしたツアーも楽しめるのです。

今回は紹介しませんでしたが、伝統的な中華料理も大変奥深く、数限りなく名店が存在します。東京から数時間で行ける美食の国、中国。次の連休の旅行先の候補に加えてみてはいかがでしょうか。

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