はじめに
普段はなかなか投資に時間を割けない方も、この10連休では思い切ってFX(外国為替証拠金取引)のデイトレードでも始めようかと思っている方もいるのではないでしょうか。しかし、この期間にトレードを行うことや、株式を持ち越してしまうことは危険な要素をはらんでいます。
サラリーマン投資家が10連休までにやっておくべきたった1つのことは「相場とできるだけ関わらないようにすること」であると筆者は考えます。その理由をご説明します。
10連休は「休むも相場」
そもそも、「時間ができたから積極的に取引をすること」は投資パフォーマンスと関係がありません。
証券ディーラーや専業投資家の場合を考えてみましょう。彼らは取引をすることが仕事ですが、必ずしも常に取引し続けているわけではありません。自身の売買ルールに合致しなければ、一切取引をせずに1日の仕事を終えることも珍しくありません。
取引できる時間が増えると、どの局面においても利益が出せるチャンスが転がっているように錯覚してしまいがちです。時間があるから取引するという考え方は、あてもない売買のきっかけとなりやすく、結果として大きな損失を被る危険性をはらんでいます。
取引したいという衝動をぐっと抑えるという自制心も、重要な投資スキルの1つです。「休むも相場」という投資格言にもあるように、10連休中は休むことで自制心という投資スキルを磨いてみるのはいかがでしょうか。
ポジション持ち越しの勝算も乏しい?
連休中はリスクがコントロールしづらいことも、相場とあまり関わらないようにすべき理由です。連休中は、日本の株式市場が休場となります。持ち越す理由が明確でないポジションについては、連休までに手仕舞いをしておくことが賢明でしょう。
さきほどと同じく、証券ディーラーはどのように考えているかを想像してみましょう。彼らは、ポジションを持った日に手仕舞いをするルールが、会社で規定されている場合があります。その理由は、ディーラーの投資スキルと関係ないところで、意図しない損失を出してしまうことを防ぐためです。
証券ディーラーは、自身のスキルでコントロールできない事象で翌日の株価が大きく変動してしまうことを「リスク」と捉えます。ちなみに、この事象には悪材料だけでなく好材料も含まれます。なぜなら、コントロールできない利益は、コントロールできない損失とも表裏一体であり、博打に近い性質を有しているからです。
彼らが継続して利益を出すことができる理由の1つには、コントロールできないという博打要素を極力減らし、自己のスキルが発揮できる状況に取引を集中させていることにあるといえるでしょう。
今回の連休では、最大10日間もリスクのコントロールがききません。さらに、この間は企業の情報開示もストップするため、よほどのことがない限り連休中の好材料は期待しにくいといえるでしょう。一方で、企業の事故や不祥事は休日でもお構いなく発生したり、明らかになったりします。このように考えると、たとえ博打と捉えても、連休中の持ち越しは勝算に乏しいと考えられます。
株主優待の長期保有要件を満たしたいなど、持ち越す理由が明確なポジションをお持ちの方は、次の対策をとることをお勧めします。それは、連休までに信用取引の空売りポジションや、その銘柄が組み入れられている指数のインバース型ETF(指標と逆の値動きをするよう設計された上場投資信託)を一定量まで保有することです。