はじめに
当面の見通しは?
日経平均の日足から過去10年間の平均パターン(下図青折線)を作成しても同様のイメージとなり、しばらくは辛抱の時間が続きそうなことは念頭に置く必要はありそうです。
このようなことから、格言に倣って秋まで「休む」ことも一考ですが、小幅なレンジ相場が続くとすれば、現状のような突っ込み場面では銘柄を選別しつつ仕込みを優先させたいところです。上値も限定ということで深追いは禁物ですが、今期後半に向けて業績持ち直しが期待される銘柄群については十分に押し目買いと対象となりうると考えています。
景気悲観は早期に修正の可能性も
足元の投資環境を合わせて考えると、年初からの株価上昇は、米中摩擦緩和や世界景気の持ち直しへの期待を背景とした、回復先取り型の強気相場ととらえられます。米中の軋轢に伴って再び景気下押し圧力が高まるとすれば、昨年末のようなさらに厳しい株価調整に陥る懸念も残りますが、その可能性は小さいと見ています。
なぜなら、欧州や中国の景気減速が鮮明だった当時とは違い、世界景気や企業業績は最悪期を通過し、持ち直しの気配を強めつつあるからです。
ハト派に転換した米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ、各主要国で景気配慮型の政策姿勢が整えられることで、今後の腰折れ懸念は相対的に小さいと判断されます。米中摩擦についても、比較的早期に落しどころを探る展開となる期待もあり、深刻な景気悪化には至らないと判断しています。
折しも主要企業の決算発表がヤマ場を迎え、足元業績や先行き見通しが確認されつつあります。市場の混乱の中で、正当な評価がなされていない企業も少なくないと見られるだけに、選別買いの好機ともいえそうです。景気への過度な悲観が修正され、今回決算でネガティブな反応を見せた電子部品や半導体や設備投資関連などへの見直しが、早期に実現するかもしれません。
<文:投資調査部 林卓郎>