5月以降、米国と中国との関税交渉の行方が世界の最大の不安定要因となっていますが、その一方で、中長期的なアジア経済の成長に影響を及ぼしかねない重要なイベントが先月、決着を迎えました。4月17日に実施されたインドネシアの大統領選挙です。

結果は、現職のジョコ・ウィドド氏の勝利。2014年に実施された前回選挙と同様、ジョコ氏と争った野党のプラボウォ・スビアント氏が「不正選挙で、結果は受け入れられない」と主張しており、完全に確定するまでにはまだしばらくかかる見込みですが、ひとまず落ち着いたといってよいでしょう。

今回の選挙結果はインドネシアにとって良い選挙結果であったと思われます。なお、第1期目のジョコ政権は、就任当初には次々と斬新な政策を打ち出し改革への期待を抱かせましたが、中盤以降は計画変更を余儀なくされるケースが目立ち、尻すぼみ気味でした。

2期目は2024年で最終任期切れとなります。再選を意識する必要のない第2期ジョコ政権は、落ち着いて政権運営を行うことができると思われます。第1期の反省も踏まえて、今後の5年間でどのような政策を打ち出してくるか、注目されます。


インドネシアの経済成長が鈍っているワケ

第2期ジョコ政権に対する期待の一方で、現在のインドネシアの経済状況は決して良好とはいえません。5月6日に発表されたインドネシアの2019年1~3月期GDP(国内総生産)成長率をみると前年同期比+5.07%と、前四半期の同+5.18%から減速しました。

GDP

ジョコ氏の前任者であるスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領の在任時にはGDP成長率の平均が6%以上あったことに比べると、ジョコ政権になって以降のGDP成長率は5%前後と明らかに低い水準で、景気鈍化といってよいでしょう。

今後、景気回復を本格化するためのポイントの1つと考えられるのは「消費」です。人口の多いインドネシアにとって、消費は経済の重要な柱の1つとなっているからです。

直近のインドネシア国内では火山島の噴火、津波などが起こったほか、国外では欧州の混乱や中国経済の減速などさまざまな悪材料が重なり、消費者心理低迷につながりました。これらに加えて、大統領選挙を前にした投資の手控えなどがインドネシアの消費を低迷させたといってよいでしょう。