はじめに
年金形式で受け取る場合には納税の可能性が高い
年金形式で受け取る場合には税務上「雑所得」となり、優遇措置として「公的年金等控除」が適用されます。
雑所得の金額=収入(iDeCoの年金額)— 公的年金控除額
公的年金等控除額より一部抜粋
1.60歳から5年間で受け取る場合 納税額は年間約3万7,000円
5年間の年金形式で受け取る場合には、年間149万8,743円、雑所得の金額は74万9,058円(149万8,743円-公的年金控除額74万9,685円)になります。
課税額を算出するには雑所得に所得税率5%を乗じるので、所得税は3万7,452円となり5年間で合計納税額は18万7,260円です。
2.60歳から10年間で受け取る場合 納税額は年間約1万7,000円
10年間の年金形式で受け取る場合は年間74万9,371円になります。その際、60歳から64歳までと65歳以上では税金の計算方法が異なります。
64歳までは雑所得4万9,371円(74万9,371円−公的年金控除額70万円)に所得税率5%を乗じて2,468円の所得税を納めることになります。65歳以上になると老齢基礎年金・老齢厚生年金と合わせた金額から公的年金控除額を引くことになります。
Aさんの老齢基礎年金・老齢厚生年金は年額80万円、iDeCoの受取額と合わせると154万9,371円です。所得税額は1万7,468円(154万9,371円-120万円に所得税率5%を乗じる)、10年間の所得税は合計で17万4,680円になります。
年金形式で受け取る場合には一時金受け取りと比べて所得税を収める可能性が高いと言えます。なお、今回は以下の条件で計算をしました。
※60歳以降は元本確保型で運用とする
※老齢基礎年金・老齢厚生年金の受け取りは65歳から
※雑所得はiDeCoのみ
一時金と年金の併用もあり
iDeCoの受け取りは一時金と年金形式の併用も可能です。
たとえば、運用が上手くいった際には資産総額が800万円を超える部分について年金受け取りにするのも一考です。ただし、税金がかかるということ以外に重要なことがあります。それは、家計のキャッシュフローを長持ちさせることです。
たとえば会社員で60歳以後の収入減少があり家計が厳しいのであれば、65歳の年金開始前までに一時金か年金形式、あるいは併用で受け取る選択もあるでしょう。
重要なのは、家計全体の中から受け取り方法を決めて、その次に納める税金が少ない方法を考えていただきたいと思います。特に50代になった方は、機会をみて夫婦でiDeCo受け取りの出口戦略を話し合っておきたいものですね。