はじめに
いくつかの見方をすべき
消費者物価指数を作成するにあたり、世の中にある大量のモノやサービス全ての価格を調査して反映するのは不可能ですので、現在は家計の消費支出の中で重要度が高く、価格変動の面で代表性があり、継続調査が可能などの観点から選定された584品目に持ち家の帰属家賃を加えた585品目から指数を算出しています。
この指数を「総合指数」と呼ぶのですが、585品目の中にはさまざまな品目が含まれているため、少し見方を工夫する必要があります。たとえば、585品目の中には生鮮食品が含まれています。生鮮食品は天候によって価格が大きく変化してしまいます。たとえば、雨が一切降らずに猛暑だったり、台風や地震などの天変地異が起こると、生鮮食品の値段は大きく上昇してしまい、物価全体にも上昇圧力がかかってしまいます。生鮮食品を総合指数から除いたものを「コアCPI」といいます。更に、資源高の影響で価格変動幅が大きくなりがちなエネルギー価格も除いたものを「コアコアCPI」とよびます。
このように、消費者物価指数1つをとってみても、いくつかの見方をしていかないと、正確に物価動向を捉えることはできないのです。ちなみに、消費者物価指数がホームページ上で発表される際は、コアもコアコアも同時に発表されますので、自分で生鮮野菜やエネルギー価格を除く作業をする必要はありません。
やはり、細かく見ていこう
消費者物価指数を総合、コア、コアコアと3つに分けてみたり、前月比と前年比とで分けて確認するなど、さまざまな見方を解説してきました。しかし、経済指標は過去のデータにすぎないため、将来を予測しようとすると、もっと細かく見ていく必要が出てきます。ここから先は少し応用編になります。
これから物価が上昇、または下落するのかを予測しようと考えた時に、消費者物価指数の構成品目それぞれの価格動向を見ていくと、その予測精度を上げることは可能になります。
たとえば、構成品目の1つに電気代があります。電気代は当然、エネルギー価格に影響を受けます。エネルギー価格の代表的なものには原油価格があります。しかし、日本では原油のほとんどは海外からの輸入がメインになるので、為替の影響や輸入などによる物価への反映時差などがあります。
各品目にはそれぞれ影響を与える要素がいくつかあり、気が遠くなるような作業ですが、これらの作業を全ての品目で行えば、かなり正確に予測できるようになります。全ての品目ではないにせよ、消費者物価指数における寄与度の高い上位5品目などを定期的に確認していけば十分かもしれません。
これを頭に入れておくと、買い物に行った時に目線が変わってくるかもしれません。筆者も週末は子ども達を連れてスーパーに行きますが、野菜や魚の値段が気になって仕方ありません。