はじめに

住民税が決定するまで

会社は所得税の計算結果の報告書として「源泉徴収票」を従業員に交付します。同じ情報を従業員の住む市区町村に翌年1月末までに報告(給与支払報告書)します。市区町村はその情報から住民税を計算して、結果を5月ごろ従業員の給与から天引きする住民税を会社に通知。会社は、それを受けて、6月~翌年5月の給与から、前年の給与収入に対する住民税を徴収します。

給与所得者は給与収入だけなら、所得税も住民税も全く計算することなく、給与天引きで納税も完結します。ただ、医療費控除や雑損控除、寄付金控除、初めて住宅ローン控除を受ける場合などは会社が年末調整で計算できません。

住民税は申告する必要ナシ

そこで、自分で所得税の確定申告をして納めすぎた税金の還付申告をします。その情報が自動的に市区町村に報告されます。確定申告した人の情報は、会社から届いた給与支払報告書に上書きするようなシステムになっているので、住民税は申告する必要はありません。

給与以外に副収入があるため、確定申告する必要がある人も、原則として住民税は別途申告をする必要がありません。

つまり、所得税は、給与所得者も還付や納税のためには、情報を得て自分で行動を起こさなければなりません。一方、住民税は、給与収入だけの人はもちろん確定申告をする人も、住民税の仕組みを知らなくても、給与天引きで終了してしまうのです。

この結果、住民税の方が負担が重かったり、行政サービスの給付や負担に影響があるにも関わらず、どうしても関心が薄くなってしまうのです。

住民税の決定通知書の確認を

私の顧客から「住民税が、去年の2倍なのはなぜですか」と質問を受けたことがあります。家族経営の事業所で、家族の給与が計算に入りこんでいたあり得ない市役所の計算ミスでした。住民税の決定通知書を見ていたからこそ、税額の多さに気が付いたのです。

2018年には東京の自治体で数年にわたり住民税が間違っていた報道もあり、他の自治体でも住民税の計算ミスは結構あるようです。

会社から住民税の決定通知書を受け取って見ない人も多いですが、少なくとも、年間税額だけでも見ることをお勧めします。

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