はじめに
ニュース番組などを見ていて、「アメリカの雇用統計が発表されました」というフレーズを聞いたことがある方もいるかもしれません。筆者の所属するマネックス証券もそうですが、「雇用統計実況中継」などのタイトルで雇用統計の発表をネットで生配信する証券会社も多いことから、雇用統計についてはご存じの方も多いのではないでしょうか。
アメリカの雇用統計は、非常に重要視されている経済指標です。6月分は日本時間の7月5日21時30分に公表されます。今回は、なぜ米国の雇用統計がこれほどまで重要視されるのか解説します。
雇用統計が注目される3つの理由
まず、なぜ“米国の”雇用統計がこれほどまで注目されるのかを考えてみます。理由は大きく分けて3つあります。1つ目は米国経済の大きさ、2つ目は米国経済の構造、3つ目がFRB(連邦準備制度理事会)の使命です。
1つ目の米国経済の大きさについては、ご存知の方も多いでしょう。アメリカは世界ナンバーワンの経済大国です。
下図は、世界で経済規模が大きい上位10カ国について、トップの米国を基準(100)としてGDP(国内総生産)を指数化したものです。これを見ると、いかに米国経済の規模が大きいかが理解できると思います。
世界第2位の経済大国である中国でも、GDPは米国の6割程度しかありません。米国のGDPは3位の日本の約4倍、4位のドイツの約5倍に達します。中国と日本とドイツのGDPをあわせてようやく米国と同程度になります。
このように、世界経済の覇者は圧倒的に米国で、世界経済は米国経済を中心に回っています。これが米国の雇用統計が注目される1つ目の理由です。