はじめに

予測が難しい、青天井の教育費

お子様が生まれた場合の教育費は、その地域や学校によって差があります。ここでは、国のデータを参考に考えてみましょう。小学校、中学校、高校までの学費等は毎月の手取り収入から賄うことを前提に、高校卒業後の進学にかかるまとまった費用を目標に貯めていくと考えてみます。

例えば、「平成29年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金/文部科学省」のデータでは、入学から卒業までの学費は、文科系学部が約400万円、理科系学部が約540万円です。文科系学部は前年度から1.3%、理科系学部は前年度から1.5%増加しています。国立大学でも学費の値上げを公表している大学があり、はたして現状の数字で見積もってよいのかは判断に迷いますね。

ご相談者様が30歳時にお子様が誕生した場合で、マイホームを購入した後の貯蓄額が約700万円だとしたら、子供一人分の大学進学費用は準備できています。2人目でも、年額120万円のペースで貯蓄ができれば現状では足りると考えることができます。

また、高校までを私立に進学させるとなると、毎月の貯蓄額を減らして、教育費にまわすことになりかねません。未就学であってもスイミングなどの習い事を始めることもありますし、塾代や予備校の授業料がかかることもあります。大学等に進学するまでにも、そのときにならないと予測が難しい教育費がありますので、支出が多くなれば現在のような貯蓄額を保つことが難しくなることも想定しておきましょう。

私の経験になりますが、長女は高校まで都内の公立に進学しました。高校2年生の秋に進路を決めるにあたり、一般的な学部でなく、美術大学を目指すことになりました。わが家で準備をしてきた教育資金は私立大学文科系を想定していたため、大きく資金計画が変わることになったのです。予備校と大学費用等すべてあわせると1000万円になります。手元の教育資金と、毎年の手取りから教育費を工面していきました。

教育に関しては、かける費用に上限がないためいくらでも変更されていきます。ここがそのときにならないと読めない教育費の怖さです。

暮らし向きによって大きく変わる老後資金

定年後の老後生活費は、その人の暮らし向きに対する考えが影響します。手元の収入内でやりくりをするのか、一定の生活基準レベルを保ちたいのかによって、定年時に用意しておきたい資金も違ってくるでしょう。

毎月の貯蓄のうち5万円を投資に充てているとしたら、65歳までの投資総額は約2990万円になります(ただし、運用の成果によって評価額が変わってきます)。65歳の定年時に、この約2990万円と退職金、そして公的年金で、希望される老後が過ごせるのかを想像してみてください。

また、将来は転勤や親の介護など家庭内になにかしらの事情が発生して、現在のような貯蓄や投資額が保てなくなることも考えられます。貯蓄している15万円のうち、優先したい目的をマイホームと教育資金とすると、何かあった場合に優先順位が低くなる老後の蓄えは計画通りには増えていかないかもしれません。

今回のような不安を解決するには、キャッシュフロー表をつくることが有効です。いくつかパターンをつくってお金の流れを見てみましょう。

20代から生活設計を考えることはとてもいいと思います。ご夫婦でよく話し合ってみてください。

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