はじめに

朗読に耳を澄ませて、非日常に浸ってもらいたい

――次回、(9月29日)の会場はGINZA SIXのラウンジです。写真を見る限り、かなり豪華な会場ですが、こちらも堀井さんが探されたのでしょうか?

エーラウンジの活動を評価してくれたJ:COMさんがスポンサーになってくれて、進んだ企画なんです。これまでは神話やおとぎ話、往年の名作を朗読していましたが、今回は会場の華やかな雰囲気に合わせて、小説『コーヒーが冷めないうちに』『この嘘がばれないうちに』から3つのエピソードをセレクトしました。

銀座で朗読会をするのは夢でもあったので、こんなに早く叶って驚いています。ゆったりとした時間を過ごしてもらいたくて、ワインもサービスする予定です。

働いている方もそうでない方も、皆さんお忙しいですよね。ちょっと座る時間があっても、目はスマホで情報を追っていることも多いでしょう。それに比べて、耳ってあまり使う機会がないと思うんです。朗読会にいる2時間の間だけでも、耳を澄ませて非日常に浸ってもらえれば嬉しいです。

――堀井さんはご出演されないんでしょうか。

これまで一度も自分が出たことはないんですよ。「なんで出ないんですか?」と聞かれますが、自分で企画して自分で朗読するなんて、なんだかジャイアンみたいだなって(笑)。朗読会ではお客さんの誘導をするなど、裏方に徹しています。

朗読って地味ですよね。日常的に接する機会もありませんし。でも、実は小さいころはみんなやっていたと思うんです。声に出して絵本を読んだり、宿題で教科書を音読したり。

朗読を聴くだけでなく、自分でもやってみたいと思ってくれたら。いつか、お客さんも参加できるような会を企画するのが夢です。

――仕事に朗読会にと頑張る堀井さんについて、お子さんは何か言っていますか?

上の子(大学4年生の娘)は「友だちに聴きに行くね」と言ってくれますが、下の子は男の子だから「ふーん」という感じですね(笑)。2人とも、テレビやラジオに出ている人というより「普通のお母さん」として扱ってくれるので、むしろ自由にやれているような気がします。

仕事で帰宅が遅い夫の分も、一人で子育てに奔走した時期が長く続きました。そんなとき、当時の女性上司に言われた「最後に帳尻を合わせればいい」という言葉を最近よく思い出しています。

女性のキャリアは時期や状況に応じて変化するもの。今はあのころの分まで働いている。そんな気持ちです。

堀井美香(ほりい みか)
1972年生まれ、秋田県出身。1995年にTBSテレビにアナウンサーとして入社。1996年結婚、1997年に長女、2000年に長男を出産。これまでに担当した主なテレビ番組は『王様のブランチ』『とんねるずのカバチ』など。現在はテレビ『ビビット』『坂上&指原のつぶれない店』などのナレーションを担当。ラジオでは『久米宏 ラジオなんですけど』『ジェーン・スー 生活は踊る(日替わりパートナー)』に出演。2018年から朗読会「A'LOUNGE(エーラウンジ)」のプロデューサーとしても活動中。

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