はじめに

約26万組以上の住宅選びの相談に応えてきたスーモカウンターが、住まいの悩みに答えるシリーズ。今回は、住宅・不動産総合サービス「SUUMO」の田辺貴久・副編集長がお答えします。

大手メーカー企業に勤める共働き夫婦です。夫は同じ職場です。現在、夫婦共に27歳。年功序列が強い会社なので、将来的に年収があがっていく見込みです。2人分なので、世帯としての上がり幅はかなり大きいとみています。


そのため、いつの年収を基準にマンションの購入価格を決定するか迷っています。そろそろマイホームもいいなと思うのですが、もう少し年収が上がってからのほうが、もっと良い家が買えるのかなと思うと、いつがいいのかわからなくなってしまいます。私たちはいつ、どのタイミングで家を購入するのがいいのでしょうか。


【相談者プロフィール】
 ・本人:妻27歳(会社員)
 ・家族:夫27歳(会社員)
 ・現在の住居:賃貸マンション(港区、60平米、2LDK)

田辺: ご相談ありがとうございます。今回は「ライフ(ステージ・スタイル)の変化と住宅購入」について考えてみましょう。


「年収」だけ気にしていると買い時は来ない

今後も年収が上がる想定とのことで、「もう少し先のほうが良いものが買える」と思い続けていらっしゃるようですね。もちろん年収から「買える金額」を算出することは大事ですが、その計算をしていると、機を逃してしまい、いつまでたっても買い時は来ません。

このところ、よく耳にするように「人生100年時代」。マイホーム購入は一生に一度きりではなく、ライフスタイルの変化などに合わせ、買い替えや買い増しをする時代になってきています。

これから出産・育児や転職などのライフイベントがあると、したい暮らしや求めるものも、その都度変わってきます。長い人生の中で1軒だけベストなものを買おうとはせずに、都度ニーズに合ったものに買い替えるスタイルをとってはいかがでしょうか。

「半投半住」という考え方

「買い替え前提」という観点で住宅購入を検討していくと、「買った時より高く売却できる」わらしべ長者的な住宅戦略も考えられます。それが、「半投半住」という考え方です。 “投資”と“居住”の2つの観点を持ち合わせた住宅購入の戦略です。

この戦略に大事なのは、投資的観点。不動産投資のポイントとなるのは、5年後売った時にキャピタルゲイン(不動産を売却することによって得られる売買差益)が得られるか、貸した時に運用益が得られるかが判断軸となります。

たとえば、夫婦2人で暮らすうちはコンパクトタイプの物件を購入し、子供ができるなど家族構成の変化のタイミングで売却するか賃貸に出し、新たな物件を購入します。この時に想定通り年収が上がっていれば、今の段階から将来を見越して広めの物件を買うよりも、エリアや設備など、より理想に合った物件を購入することができるのではないでしょうか。

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