はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ

今回の相談者は、都内で暮らす48歳の男性。長男のため、地方で暮らす高齢の両親に資金援助をしなければならないと考えているものの、自身の家庭の貯蓄もままならない状況だといいます。FPの平野泰嗣氏がお答えします。

学校を卒業してから東京で就職し、現在は都内で夫婦と子ども2人の4人暮らしです。両親はまだ健在ですが、地方で暮らしています。最近は忙しく、実家に帰る機会も少なくなってきています。昨年帰省した際に、今まで元気だと思っていた父親が、急に年をとったと感じるようになりました。また、築40年を超える実家も傷んでいて、修繕が必要になってきています。姉と弟がいますが、私が長男なので、両親をしっかり支えていかなければいけないと思っています。ただ、私自身の家計は、住宅ローンや子ども2人の教育費の負担が大きく、なかなか貯金ができない状況です。今後、親の介護や実家の修繕に資金的な援助が必要になることを考えると不安になります。


<相談者プロフィール>
・男性、48歳、会社員、既婚(妻:46歳・パート)
・子ども(2人):長女19歳(大学生)、長男17歳(高校生)
・ボーナス込みの額面年収:夫750万円、妻90万円
・現在の貯金:750万円
※相談者の両親・兄弟
・両親:父78歳、母76歳(地方に2人暮らし)
・兄弟:姉50歳(既婚)、弟43歳(既婚)


平野: 相談者様のように、40代後半から50代の方から、ご自身のライフプランに加えて両親の介護についての相談を受ける機会が増えてきました。「実家の修繕費用や親の介護費用をご自身の家計からどのくらいまで負担しても大丈夫か?」という質問も多くいただきます。

今回は、ご自身の家計と実家の支援についての考え方について解説しましょう。

親子間のコミュニケーション不足が生む「将来の不安」

子どもの立場として、両親の将来を心配し、サポートしたいという気持ちを持つことは自然なことでしょう。

相談者様は、「親の介護や実家の修繕が必要になることを考えると不安になる」とのことですが、実家の補修費用などの資金的なサポートや親の介護について、具体的なイメージはお持ちなのでしょうか。私に相談にいらっしゃる方に同様の質問を投げかけると、「具体的なイメージを持っていない」という方がほとんどです。また、「ご両親に、どのようにしてもらいたいか聞いてみたことはありますか?」と質問を続けると、「まだ、親から具体的に聞いたことがない」と答える方がほとんどです。

将来どのような資金援助や介護支援が必要になるのか、イメージできていないと不安になります。つまり、不安の一番の原因は、親子間のコミュニケーション不足といえるでしょう。

また、相談者様は、住宅ローンや教育費の負担が重く、現在の家計状況を考えると、とても親への援助は厳しいと感じていらっしゃるのでしょう。現在の家計状況だけではなく、将来のライフプラン、マネープランを一度作ってみると、自身の将来の資産状況から、どのくらいまでなら親への援助ができるのか目安ができます。ご両親と具体的な話をする際に、できること、できないことを判断する材料になります。

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