はじめに
「米国、シリアに59発のミサイル発射」2017年4月7日の午前10時頃、ショッキングなニュースが報道されました。
シリアのアサド政権は、4日の早朝に国際的に禁じられているサリンなどの化学兵器を使用したとされ、アメリカのトランプ大統領は「シリアはいくつもの一線を越えた」とコメント。なんらかの厳しい対応をするということでしたが、わずか数日でこの予想だにしない決断です。
トランプ大統領は声明で、「化学兵器による攻撃を罪のない市民に行った、シリアの空軍基地への攻撃を指示した」と発表し、シリアとの対立は決定的なものになりました。
この恐ろしいニュースに為替市場は有事の円買いで反応、商品市場は有事の金買いと中東不安定化による原油急騰、そして株式市場も……。その際の市場の様子を後学のためにもレポートしたいと思います。
※チャート図はイメージ写真です
堅調地合いが一転し急落
4月7日朝方の日経平均株価は、新年度に入ってからの下落ムードからようやくリバウンドが入り、堅調な展開で推移していました。為替も円安基調、日経平均もあと少しで200円高だという最中、10時15分頃、なんの前触れもなく為替が突然円高に振れました。
「何が起きた!?」通常このような動きは考えられませんので、すぐさまTwitterを確認すると、アメリカがシリアにミサイルを発射という情報が。
シリアは、アサド政権と反政府勢力とISの3者が約6年にわたって内戦を続けている治安の悪い国です。ISに対する空爆は、これまで何度も行われています。シリアが化学兵器を使用したことへの対抗措置として行ったものであれば、ショックはあれどすぐに戻してもいいのではと思っていましたが、為替も日経平均もなかなか戻らない。
「あれれ」と思い調べていたら、身の毛もよだつ報道が……。
攻撃はロシアへの通告なしに行われた?
実は、アメリカが攻撃したアサド政権をロシアが支援しています。この内戦は米露の代理戦争とISの撲滅と……とにかくぐちゃぐちゃとしているのですが、一部報道機関によると、ミサイル攻撃はロシアへの事前通告なしに行われたといいます。
「シャレにならん」率直にそう思いました。もしロシア側に被害が発生でもしたら内戦から、大国同士の争いに発展しかねない、と。
ロシアへの通告は行われた、という報道も出始めましたが、情報が錯綜している状態で11時30分、日経平均は今年の最安値を更新し、いやな雰囲気のまま午前の取引を終えました。
防衛関連株と呼ばれる銘柄の中にはストップ高を付けるものもあり、まさに緊急事態という感じでした。