はじめに

約70年ぶりの大減税

まず最初は「自動車税の減税」です。現行における基本的な税制度が創設されたのが1950(昭和25)年ですから約70年ぶりの減税となります。

▼2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自家用の乗用車(登録車)の自動車税(種別割)の税率表
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消費増税による需要を平準化するために自動車税の税率を引き下げ(恒久減税)します。この規模は約1,320億円というかなりの金額になりますが、その数字だけを鵜呑みにしてはいけません。

まず減税になるのは2019年10月以降に新規登録を受けた「自家用乗用車(登録車)のみ」であること。ユーザーの負担を軽減するために、登録車販売台数の約9割を占める小型車(2,000cc以下)を中心に行います。

上の表にもある通り、660cc超1,000cc以下であれば4,500円、1,000cc超1,500cc以下であれば4,000円、1,500cc超2,000cc以下であれば3,500円となりますが、排気量が上がるたびに引き下げ額は減少します。

特に2,500cc超になるとその値下げ額はわずが1,000円です。排気量区分の最も上に位置する6,000cc超でも同じ1,000円なのです。

これだけでは正直あまり消費を後押しする減税とは言いがたい部分もあるかもしれません。現在の日本市場で4割近くを販売する軽自動車(四輪以上の乗用・自家用)は、すでに2015年4月1日に7,200円から10,800円に改訂されていますので、今回の自動車税の減税に関しては対象ではないことも覚えておく必要があります。

自動車取得税の廃止は福音となるか

自動車税の減税以上にインパクトがあるのが、これまで50万円以上の自動車を購入した際にかかっていた「自動車取得税」の廃止です。

自動車取得税の税率は自家用自動車の場合が原則として「取得価格の3%」、軽自動車や事業用車両は「取得価格の2%」でした。これまでも消費税と自動車取得税の負担は消費者にとって大きなものでしたので、今回の増税でこれを廃止したわけです。

実際、3%という金額でも車両価格の高いモデルではかなりの負担増になることは予想が付きます。前にこの連載でも紹介した新型日産スカイライン、ハイブリッドモデルの「GT Type SP」で増税前に見積もりを取ってみると、特別塗装色やBOSE社製のオーディオシステムなどのメーカーオプション、さらにベーシックパックと呼ばれるディーラーオプションを加えた総額から導き出した自動車取得税は160,100円となります。スカイラインのハイブリッドは後述するエコカー減税にも適応しているのでここから32,000円が減額されますが、それでも13万円近い自動車所得税を払うことになります。

これが10月1日以降はこの所得税が廃止されますので、購入意欲の後押しになることは間違いないでしょう。ただし、忘れてはいけないのが消費税は10%に上がっているということです。

あくまでも概算ですが、前述した増減税を含めトータルで比較した場合、スカイラインでは増税後では12万円ほど車両価格が上がってしまったのですが、ここから取得税の廃止等により総支払額はほぼ同じに落ち着きます。

増税自体は始まってしまうのでその波に逆らうことはできませんが、購入時には「元々消費税8%だったらいくらになったのか?」という質問をディーラーに投げてみるのもいいと思います。実際知り合いのセールスマンからは「その辺の対応はしっかり勉強している」という声も聞きました。まさにピンチをチャンスに変えるタイミングなのかもしれません。

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