はじめに
何を優先させたいか目標に順位をつける
まず、ローン返済も含め、生活に必要な経済的な目標を整理してみましょう。ご相談者の場合、以下が主な目標かと思われます。
・ローン返済
・教育費の準備
・自動車購入
・老後の準備
では、それぞれの優先順位はどうでしょうか。個人によって、優先順位は変わってくるかと思います。ご自身にとってどうかを考えてみましょう。仮に、下記のように優先順位を置いてみます。
1.教育費準備
2.ローン返済
3.老後の準備
4.自動車購入
すべての目標を達成するのが理想ではありますが、現実は難しいケースもあります。その場合、優先順位の高い目標を達成するために、優先順位の低い目標の金額を下げたり、時期を遅らせるなどの対策も必要となってきます。
現状を振り返り、軌道修正をする
では次に、それぞれに対しての現在の準備状況も見てみましょう。
1.教育費準備: 児童手当など150万円 低返戻終身3.2万/月
2.ローン返済: ローン返済積み立て150万円
3.老後の準備: 外貨建終身2.2万/月、マッチング拠出4万/月
4.自動車購入: 余裕資金
外貨建終身や低返戻終身など、貯蓄性のある保険に関しては、教育費としての準備も考えられるので、今一度貯蓄目的を確認してみてください。仮に老後のためというのであれば、老後の準備が過剰になってしまっています。
また、マッチング拠出をスタートされるということですが、確定拠出年金は原則60歳まで引き出すことができないため、完全に老後のための準備となります。教育費やローン返済などの準備ができていない中で、掛金を大きくするのは、老後まで利用できない資金としてブロックしてしまうため、おすすめできません。月4万円の掛金は見直すべきかと思われます。
家計収支の中でやりくりできない分の教育費を確保する
教育費の確保を考えると、現在、教育費として年間120万円ぐらいは収入の中から支払えています。それを考慮すると、公立の中学までは、家計の収支の中から拠出できる範囲でしょう。
高校から仮に私立へ行った場合で考えると、高校(私立全日制)、大学(私立理系自宅通学)の7年間を二人分で約1825万円となります。そのうち、約840万円程度は家計の収支の中でやりくりできると考えると、1000万円ほどの準備が必要となります。児童手当だけでは足りないので、子どもの教育費準備としての貯蓄をまず確保しましょう。
繰り上げ返済は、結果的に老後の負担軽減につながる
続いて住宅ローン返済ですが、住宅ローン控除が終わる7年経過後から年間50万円ずつ繰り上げ返済すると、65歳までに返済完了する計算となります(※ローン条件:借入年齢37歳、借入金3300万、金利固定1.47%、35年ローン)。その際の利息軽減効果は約178万円となります。今焦って返済しなくても、住宅ローン控除を最大限利用した上での返済でも十分効果はあります。
マッチング拠出で運用すると、将来的に繰り上げ返済の利息軽減効果以上の運用益を期待できる可能性はありますが、流動性を考えると、ご相談者の場合は、マッチング拠出としてではなく、将来のローン返済のために貯めた方が良いでしょう。結果的に老後の負担軽減にも繋がりますし、いざという時に他の用途でも使うことができます。
流動性を加味した貯蓄計画を
整理すると、以下の通りになります
1.教育費: 児童手当2万円/月+低返戻終身3.2万/月+3万円/月
2.ローン返済: 4万円/月
3.老後の準備: 外貨建終身2.2万/月+マッチング拠出2万円/月
4.自動車: 300万円程度
ある程度、目的別に分け、流動性も加味しながら貯蓄計画を立てることで、将来的な状況の変化にも対応できるようになります。単純な利益追求ではなく、生活の中で何を優先するのかを考えながら生活設計していきましょう。
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